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【企業別分析】プロジェクトカンパニー(9246)

株式会社プロジェクトカンパニーについて有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

企業概要

企業名株式会社プロジェクトカンパニー
上場市場(上場年月)東証グロース(2021/9)
時価総額(業種別時価総額順位)271億円(サービス業 142 / 528 社)
外国法人持株比率6.4%
予想配当利回り0.00 %
監査法人太陽有限責任監査法人
業務内容DX支援サービス会社。DX戦略立案や新規事業開発、既存事業の変革、デジタルマーケティング、UI/UXの改善等のサービスを提供する。22.12期は7期連続の増収、営業増益となった。2社のグループ化が寄与。 記:2023/03/05

  転載元:FISCO

競合他社

プロジェクトカンパニーと同じくデジタルマーケティング領域でのサービスを提供する企業としては、サンアスタ(4053)、マネジメントソリューションズ(7033)マクビープラネット(7095)があります。

  • サンアスタ:ITコンサルティングやシステム開発などを行う会社
  • マネジメントソリューションズ:プロジェクトマネジメントの実行支援を行う会社
  • マクビープラネット:LTVマーケティングやデータ分析などを行う会社

事業内容

株式会社プロジェクトカンパニーは、デジタル領域における新規事業開発から、サービスサイトにおけるUI・UX改善、さらにSNSマーケティング、コンテンツマーケティングなどのデジタルマーケティング領域まで一気通貫で取り扱うことができるDX(デジタルトランスフォーメーション)のプラットフォーム企業です。

UI/UXとは?

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェイス)」の略称です。ユーザーとコンピューターあいだで情報をやり取りするさまざまな機器や入力装置を指します。例えば、マウスやキーボード、マイクやスピーカー、ディスプレイなどがUIに含まれます。また、webサービスにおいてはwebページのデザインやフォントなどもUIに含まれるのです。
UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称です。ユーザーがある製品やサービスとの関わりを通じて得る体験や印象の総体を指します。使いやすさだけでなく、満足度や感情などもUXに含まれます。例えば、webサービスにおいてはwebページのデザインやフォントだけでなく、コンテンツや機能、ナビゲーションなどもUXに影響するのです。

UIscopeとは?

UIscopeとは、スマホアプリやwebサイトなどのユーザーテストを行うサービスです。ユーザーは、サービスを実際に利用し、使い心地や感想を提出することで報酬をもらうことができます。サービス提供者は、ユーザーの声や動画をもとに、サービスの改善点や問題点を発見することができます。

同社の得意分野は、プロジェクト型社会の創出というビジョンのもと、プロジェクト型人材の育成やプロジェクト型組織の構築を支援することです。プロジェクト型社会とは、個人が自分の能力や興味に応じてプロジェクトに参加し、自己実現と社会貢献を両立できる社会のことです。

強み・弱み

プロジェクトカンパニーの強みについて、以下が挙げられます。

  • ユーザーインターフェイスとなるWeb改善支援からマーケティング支援、さらには新規事業開発などのビジネス支援まで一気通貫で提供。同社提供の各サービスについては競合も少なくないが、一気通貫できる企業は限定される。
  • 顧客はワンストップで支援を受けられることから、効率的・効果的なDXの実現が可能。

プロジェクトカンパニーの弱みについて、以下が挙げられます。

  • 創業からまだ5年程度という若い会社であり、実績や信頼が十分に積み上げられていない。
  • デジタル領域における新規事業開発やデジタルマーケティングは競争が激しく、差別化や継続性が難しい。

目標とする経営指標

同社グループはベンチャー企業であることから、まずは売上高を前年対比で大きく成長することを目標としてい
ます。

また、同社グループはプロダクト型の企業ではないため、毎年安定的に利益を生み出す形で営業キャッシュ・フローを再投資して事業を拡大することを目指しています。そのため、売上高成長率の次に重視する指標は、営業利益額としています。

バフェットコード

事業セグメント

プロジェクトカンパニーの事業セグメントは、以下の通りです。

セグメント取扱商品またはサービスの内容
デジタルトランスフォーメーション事業デジタルトランスフォーメーション事業は、コンサルティングサービスマーケティングサービスUI/UXサービスの3つに分かれます。
コンサルティングサービスは、DXを通じた新規事業開発や既存事業変革、業務改善の支援を行っています。
マーケティングサービスは、Twitter、Instagram等のSNS運用支援、Webサイト改善、マーケティングコンサルのサービスを提供しています。
UI/UXサービスは、UI/UXの改善のためのユーザビリティテストサービスである「UIscope」を活用し、サービス体験の改善・設計を支援しています。
DX×テクノロジー事業DX×テクノロジー事業は、IT企業などを顧客として、プログラミングスキルを有するエンジニア人材が常駐し、システム開発・運用保守業務やソフトウエアテスト業務を支援するテクノロジーサービスを提供しています。
DX×HR事業DX×HR事業は、企業のHR部門を幅広くバックアップするHRソリューションサービスを提供しています。

売上、利益の規模ともに、主事業である「デジタルトランスフォーメーション事業」から太宗が計上されています。

業績

プロジェクトカンパニーの過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

EPSの推移と予想EPS

四季報データより作成

四半期EPS推移

四季報データより作成

2022年12月期は、売上高は43.5億円(前年同期比+203.5%増)、営業利益は9.5億円(前年同期比+187.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6.7億円(前年同期比+188.3%増)となりました。

同社グループが事業展開するデジタルトランスフォーメーション(DX)市場におきましては、コロナウイルス感染症流行後のニューノーマル定着や政府によるDX支援も追い風となり、市場規模が順調に拡大しています。

特に大手企業を中心に、既存のビジネスモデルを大きく変化させる新たな潮流として、DXに強い関心が寄せられています。

デジタルトランスフォーメーション事業

期を通じて採用が順調に進捗したほか、M&Aによる2社のグループ会社化により、期末従業員数は大幅増加しました。売上成長の基盤となる人材確保ができており、今後の売上伸長に寄与していくものと評価しています。

また、幅広い業界の主要企業に対し領域横断的にサービス提供する戦略が奏功し、新規顧客を開拓しながらも顧客単価を大幅伸長しています。

avatar
クライアント数はそこまで増えていませんが、顧客あたりの単価が増加したことにより売上高は増加しています。単価が上昇するのは望ましいことですが、顧客も増やしていけるかに注目したいです。

過去の支援実績、業務品質を評価いただけている既存クライアントからの追加発注と同時に、新規クライアントの獲得にも成功しているようです。

また、クライアントがDXの特定領域にのみ課題を抱えることは少ないと認識しており、例えば入り口はUI/UXについてのご相談であっても、結果的に領域をまたがるDXの課題解決のためのより本質的な提案を行う余地があるケースも多いことから、新規クライアントについても領域横断での提案を行うことによって、顧客単価向上により一層の売上高を拡大させる余地があると判断しています。

同社グループの提供サービスの性質上、一度受注すれば中長期的に継続支援させていただくことが多く、当連結会計年度の売上に占めるストック売上(6か月以上の連続受注を獲得したクライアントからの売上のうち、スポットの性質が強い広告出稿やユーザーテスト等を除いたもの)の比率は90.2%となりました。

コンサルティングサービス

コンサルティングサービスでは、デジタルを活用した新規事業開発支援が売上の約5割を占める主力業務。

新たな収益源確保のための新規事業開発へのニーズが引き続き強く、安定して売上を確保しています。

FY2022 Q4については、既存事業変革支援の売上が前四半期比で大きく伸長し、売上拡大を牽引しました。

マーケティングサービス

SNS運用支援とマーケティングコンサルが売上の中心。SNS運用支援で成果を出し、より広範なデジタルマーケティング全体の戦略立案(マーケティングコンサル)の需要獲得に繋げる構造となっています。

FY2022 Q4は、Webのサイト改善の売上高が伸長し、全体の売上を押し上げました。

UI/UXサービス

UI/UX改善のためのユーザービリティテストサービス「UIscope」。スマホアプリやWebサイトのユーザーテストを通じ、サービス体験の設計を提案するリサーチ・助言ビジネス(2018年6月に事業譲受)

本サービス導入企業へのクロスセルにより、コンサルティングサービスの売上拡大に貢献しています。

M&A

2022年12月期には2社を子会社化しています。

2Qには株式会社uloqo(現:株式会社プロジェクトHRソリューションズ)、4Qにはクアトロテクノロジーズ(現:株式会社プロジェクトテクノロジーズをグループに取り込んでいます。

それぞれ、DX×HR事業およびDX×テクノロジー事業として報告されています。

現在は全体に占める割合は大きくありませんが、これらを成長させていけるか注目です。

株式会社Dr.健康経営の株式取得(子会社化)

2023年2月に株式会社Dr.健康経営の株式を取得し、子会社化したことがリリースされました。

株式会社Dr.健康経営は、産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」を中心として、法人顧客に対して従業員の健康やメンタルヘルスケアに係る事業を展開しており、ストレスチェック制度の義務化や働き方改革関連法の施行、COVID-19 の感染拡大に伴うテレワークの普及等を追い風に、事業規模を拡大しています。

本件株式取得を通じ、プロジェクトカンパニーは人事労務領域の支援メニューを拡充することにより DX×HR 事業の強化が可能と見込んでいます。

また株式会社Dr.健康経営は、プロジェクトカンパニーが抱える大手クライアントへのクロスセルにより、顧客基盤の一層の拡充を図ってまいります。

株式会社アルトワイズの株式取得(子会社化)

2023年3月に株式会社アルトワイズの株式を取得し、子会社化したことがリリースされました。

株式会社アルトワイズは、株式会社クアトロテクノロジーズ(現株式会社プロジェクトテクノロジーズ)と同じく、SES事業(SESとは、System Engineering Serviceの略であり、ソフトウエアやシステムの開発、保守、運用などの特定の業務において、エンジニアの技術力を提供する委託契約のこと)を展開しております。

本件株式取得を通じ、プロジェクトカンパニーはテクノロジー領域に精通したエンジニア人材をより一層拡充することにより、テクノロジー領域を含めた一気通貫での DX 支援(DX×テクノロジー事業)の一層の強化が可能と見込んでおります。

また株式会社アルトワイズは、プロジェクトカンパニーグループに参画することで、人材の採用・育成の加速などにより事業を一層拡大することを図ってまいります。

テクニカル分析

TradingView

上場後、順調な売上高の成長と共に株価も上昇していましたが、先行きの不透明感から売られています。

M&Aでシナジー効果を狙って成長していくのはいいと思いますが、DXの軸から外れており相乗効果にやや不透明感があり、利益の成長につながるか少し懸念があります。

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