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【企業別分析】メンバーズ(2130)

株式会社メンバーズについて有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。

企業概要

企業名株式会社メンバーズ
上場市場(上場年月)東証プライム(2006/11)
時価総額(業種別時価総額順位)266億円(サービス業 148 / 527 社)
外国法人持株比率6.0%
予想配当利回り1.53 %
監査法人監査法人アヴァンティア
業務内容 ネットビジネス支援会社。大企業向けデジタルマーケティング支援と中小・インターネット企業向けデジタル人材事業を展開。主要取引先は資生堂や大京など。高付加価値専門領域支援の好調で、3Q累計は増収・利益急伸。 記:2022/02/22
専任チームを編成して顧客のデジタルマーケティングを支援。デジタル人材によるプロダクト開発支援も。PGT事業は売上堅調。PGTモデル提供社数、デジタルクリエイター数は増加。23.3期2Qは2桁増収。 記:2023/01/04

  転載元:FISCO

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監査法人がBIG4出ないのが気になってしまいますが、ベンチャー企業なのでしょうがないですね。。

JPX日経中小型株指数構成銘柄への選定

メンバーズは「JPX日経中小型株指数」の構成銘柄に選定されています。

JPX日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。

JPX日経中小型株指数」ではJPX日経インデックス400で導入した「投資者にとって投資魅力の高い会社」を構成銘柄とするとのコンセプトを中小型株に適用することで、資本の効率的活用や投資者を意識した経営を行っている企業を選定するとともに、こうした意識をより広範な企業に普及・促進を図ることを目指すものです。

現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。

事業内容

メンバーズは顧客企業の経営スタイルやマーケティング活動、サービスおよびプロダクトを「地球と社会を持続可能なもの」へと転換させることを目指し、主に2つの事業(EMC事業及びPGT事業)を展開しています。

EMC(Engagement Marketing Center)事業
これまでデジタルビジネス運用支援で培ってきたスキルやノウハウをもとに、「業務プロセス」「企業と顧客の関係性」「ビジネスモデル」に変革を起こすことを通じ、顧客企業のDX推進を支援する。
PGT(Product Growth Team)事業※デジタル人材事業は2022年3月期よりPGT事業に名称変更
従来の専門スキルのあるデジタルクリエイター人材の提供から、ベンチャー企業を中心に顧客企業のデジタルを用いた製品やサービス(デジタルプロダクト)の新サービス開発や成長支援(グロース支援)をチームで提供する。
また、今後も技術領域に特化した新カンパニーを積極的に立ち上げること、提供価値を自律型グロース支援に転換すること、エンジニア領域を拡大することで高単価を実現していく。

企業は継続的価値創造のためにデジタルシフトやDXを利用した企業変革を一層加速することで、マーケティング活動を含めた企業のビジネスそのものを脱炭素型・社会課題解決型へ変容させることが求められています。

国内DX市場は、2020年度1兆3,821億円実績から2030年度には5兆1,957億円に拡大する見通しです。

DX市場が徐々に活況を迎える一方で、企業がインターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材を自社で採用・育成することは難しく、人材不足がDX推進を阻む大きな壁となっており、日本企業の約8割が事業戦略上の変革を担う人材は質・量ともに不足していると認識しているのが実態です。

このような状況を打破するため、メンバーズは顧客企業の経営スタイルやマーケティング活動、サービスおよびプロダクトを「地球と社会を持続可能なもの」へと転換させることを目指しています。

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クリエイター集団とあって決算説明資料が大変わかりやすい!
多数のパワポを流用させていただきました。

目標とする経営指標

メンバーズグループ全体ではデジタルクリエイター数および売上収益、ならびにEMC事業においてはEMCモデル提供社数、PGT事業においては社内カンパニー数および取引社数を事業拡大のための指標としています。

そのほか、経営成績の伸長に見合った成果の配分や配当金額の継続的な増額を基本方針とし、中期的には連結親会社所有者帰属持分配当率(DOE)は5%程度を目標としています。

バフェットコード

事業セグメント

メンバーズグループはネットビジネス支援事業を主たる事業とし、社内カンパニー13社および連結子会社1社によって構成されています。

社内カンパニー3社で「EMC事業」、社内カンパニー10社で「PGT事業」、社内カンパニー1社および連結子会社1社で「その他事業」を提供しています。

メンバーズは「ネットビジネス支援事業」の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略されています。

セグメント取扱商品またはサービスの内容
ネットビジネス支援事業a.EMC事業
大手企業向けにデジタルを活用したビジネス成果とユーザーエンゲージメントを向上し続ける専任チーム“EMC(Engagement Marketing Center)”を編成し、顧客企業のDX推進を支援することを目的としたデジタルビジネス運用支援サービス
ex.Webサイト、EC、SNS、アプリ、マーケティングオートメーション(MA)、デジタルトランスフォーメーション(DX)など
顧客視点での課題発見・要件定義からデジタルサービスやプロダクトの開発・運用までを包括的に支援するサービスを提供する。
b.PGT事業
インターネット/デジタルテクノロジーに精通するクリエイター人材を、成長性の高いインターネット企業やソーシャルイノベーションベンチャーに提供することを目的とした顧客のデジタルプロダクトのグロース支援人材サービス
また、データアナリストやUXデザイナー等、高付加価値領域に特化した社内カンパニーを積極的に立ち上げ、デジタルクリエイターを育成・配置している。
ex.DXプロデューサー、UXデザイナー、データサイエンティスト、マーケティングプランナー、データエンジニア、Webサイトディレクター、Webデザイナー、エンジニア
c.その他事業
障がい者雇用支援サービスおよび再生可能エネルギー発電事業を展開。

業績

メンバーズの過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

EPSの推移と予想EPS

四季報データより作成

四半期EPS推移

四季報データより作成

2023年3月期2Qは、売上高は82億円(前年同期比△20.9%減)、営業利益は2.8億円(前年同期比△21.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1.5億円(前年同期比△39.5%減)となりました。

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業種特有の季節変動性があり、年度初めの1Qから年度末にかけて売上高、利益ともに増えていることがわかります。コンサル系の業種に多いのですが、期中に獲得した人材が期末にかけて売り上げに結び付くので後半にかけて売り上げは上がっていきます。

売上収益は、主にPGT事業の高付加価値領域の拡大、PTG事業の製販分離による営業活動の成果等により前年同四半期比20.9%増となり、堅調に推移し、第2四半期連結累計期間として過去最高を更新しました。

利益面は、主にEMC事業において営業活動における新規顧客及び案件の獲得が遅れ、未稼働者が発生したことに加えて、一部不採算案件の発生、営業及び採用、育成といった投資、クリエイター増加に伴うオフィス拡張等によりコストが増加し、連結営業利益は前年同期比で減益となりました。

しかしながら、新卒・中途社員の積極採用および育成、営業活動への投資は、通期および当社グループの継続的な成長のため将来にわたり十分収益に寄与する想定であり、企業のデジタル投資への拡大を背景として引き続き積極的な投資を行ってまいります。

EMC事業

EMCモデル提供社数は前2Qにおいては一部案件をPGT事業に移行したこと等により減少しており、その後新規顧客への提案も積極的に行った結果、前期末の段階で54社となっています。

ただ積極的な人材採用にもかかわらず当2Qにおいては顧客は前年末比と同じ54社となっています。

なお、EMC事業に所属するデジタルクリエイター数は1,127名(前期末比227名増、+25.2%)となっています。

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人材投資をしているにもかかわらずEMC者数が増えなかったのは残念ですね。

PGT事業

当事業はデータ領域やUX(※1)等の専門領域支援サービスならびにエンジニア領域の急速な拡大により引き続き順調に成長し、グループ全体の拡大を牽引しています。

(※1)UX(ユーザーエクスペリエンス):製品やサービスなどを利用するにあたって得られる「体験・経験」のこと。

付加価値の高い専門領域支援サービスの順調な拡大による収益性向上を要因として、PGT事業全体の売上収益は32.4億円円(前年同期比+38.3%増)となっています。

PGTモデル提供顧客数についても大幅に上昇し、46社(前期末比+25社)となっています。

なお、PGT事業に所属するデジタルクリエイター数は936名(前期末比213名増、+29.5%)となっています。

PGT事業-社内カンパニー

カンパニー数は前期末と変わらずの10社ですが、エンジニアリング・データ・UXといった分野を筆頭に付加価値の高い専門領域支援サービスの収益性が高く好調が続いています。

また顧客数は新規顧客開拓も進んでおり、累計取引者数が212社(前期末比36社増)、デジタルクリエイター数は723名(前期末比194名増)となっています。

当事業においては、メンバーズキャリアカンパニーおよびメンバーズエッジカンパニーを中心として、新技術領域や新しいグロース支援領域の職種を創造します。

今期は、高付加価値のエンジニアリング領域特化カンパニーを積極的に立ち上げ、高単価かつ高稼働を実現することで収益性強化を図っています。なお2022年3月期においては、以下の社内カンパニーを設立しています。

・SaaS活用型グロースチーム事業を提供するサースプラスカンパニー(2021年4月設立)
・DevOps(※2)推進をプロフェッショナル人材によるチーム提供で支援するデブオプスリードカンパニー(2021年7月設立)

(※2)DevOps(デブオプス):開発手法やツールを使って開発者(Development)と運用者(Operations)が密接に連携することにより、迅速かつ柔軟なサービス提供を行うための考え方や仕組みのこと。

事業別DC数・一人あたり付加価値売上高

人材投資

メンバーズでは、インターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材の大幅な不足を予測し、先行投資として継続的な採用活動を実施しています。

美術・芸術系大学、高等専門学校・Webクリエイティブ関連の専門学校、四年制大学および大学院から幅広く採用を行っており、2021年4月にはグループ合計で前年より128名増の364名の新卒社員が入社しており(地方拠点を含む。)、2021年度においては新卒社員の配属を前倒しし、6月より順次稼働を開始しています。

2022年4月にも計画通り484名の新卒社員が入社しています。

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過去の実績を見ると売上高・利益は社員数に連動しているので、2022年度も期待できます。

2030年に向けた事業の方向性

最後に2030年に向けた事業の方向性について載せておきます。

メンバーズでは2030年までに実現する長期的なビジョンとして「VISION2030」を策定しています。

その中でVISION2030達成に向けた目標値として、以下が掲げられています。

  • ソーシャルクリエイター(※1)10万人
    ※1:デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター(職人)志向性の高い人材のこと
  • ソーシャルエンゲージメント(※2)総量 100億
    ※2:社会課題解決施策としてメンバーズグループが手がけたコンテンツ・プロダクト・サービスに対する接触回数
  • 社員数1万人
  • 営業利益100億円

テクニカル分析

TradingView

長期では上下はあるものの上昇トレンドに乗っていますが、直近では垂れてきています。

TradingView

1,900円付近のサポートを割ってしまうと警戒が必要です。

株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。

株価からBPSを控除した金額の時間推移を利用した予測モデルをModel1、株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。

相関係数はModel1で97.6%、Model2で90.5%となっておりますので、株価とEPSには強い相関があるといえます。

相関係数の絶対値一般的な解釈
0~20%ほとんど相関関係がない
20~40%やや相関関係がある
40~70%かなり相関関係がある
70~100%強い相関関係がある

Model1

Model1で算出した価格は2023年3月期で3,679円、2024年3月期で4,267円となっています。

Model2

予想EPSは2023年3月期が121.7円、2024年3月期が121.7円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ3,749円4,674円となっています。

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