
ワイエイシイホールディングス株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。
YACの企業概要
企業名 | ワイエイシイホールディングス株式会社 | 設立年月日 | 1973/5 |
時価総額 | 14,629 百万円 | 業種別 時価総額順位 | 機械 130 / 231 社 |
上場年月 | 1994/6 | 上場市場 | 東証1部 |
従業員数 | 連 872 名 単 22 名 | 外国法人持株比率 | 4.0% |
決算月 | 3月 | 監査法人 | 太陽有限責任監査法人 |
業務内容 | ハードディスクや液晶・半導体関連の装置を手掛ける。クリーニング関連装置なども手掛ける。22.3期3Qは大幅増益。メカトロニクス関連事業が牽引。電子部品向けテーピング装置、パワー半導体等の堅調な需要が寄与。 記:2022/03/02 |
転載元:FISCO
競合他社について
後日記載
YACの事業について
YACは、メカトロニクス関連製品、ディスプレイ関連製品、産業機器関連製品、電子機器関連製品の開発・設計・製造・販売・保守サービスを主たる業務とする会社です。
メモリーディスク関連、パワー半導体関連、液晶関連装置が主力となっています。
事業セグメント
YACの事業セグメントは以下の通りです。 (有価証券報告書2021年3月期の【事業の内容】P6より)
グメント | 取扱商品またはサービスの内容 |
---|---|
メカトロニクス関連事業 |
ハードディスク関連、半導体関連、太陽電池関連、レーザプロセス、 主要な製品はハードディスク関連装置、クリーン搬送装置、半導体製造装置、太陽電池製造装置、精密切断装置、レーザプロセス装置、イオンビーム装置、電子部品の搬送用キャリアテープ等であります。 《2022年3月期3Q》 |
ディスプレイ関連事業 |
フラットパネル製造用ドライエッチング関連装置、精密熱処理関連製品の製造、販売及びサービスを扱う。 主要な製品はドライエッチング装置、アニール装置、精密熱処理装置であります。 《2022年3月期3Q》 |
産業機器関連事業 |
クリーニング仕上げ装置や自動包装機等の製造、販売及びサービスを扱う。 主要な製品は、シャツ用・ウール用プレス機、自動包装機等であります。 《2022年3月期3Q》 |
電子機器関連事業 |
工業計器、制御通信、医療機器、金型加熱等の製品の製造、販売及び 主要な製品は、工業計器、制御通信装置、医療用機器、金型加熱装置等であります。 《2022年3月期3Q》 |
YACHDは傘下に主力会社が4社あり、それぞれの財務情報及び各社が担当する事業は以下の通りです。

セグメント別の売上高と利益についてグラフにしてみます。


セグメント別売上高を見ると、売上は「メカトロニクス関連事業」「ディスプレイ関連事業」「電子機器関連事業」でほとんどが構成されています。
「ディスプレイ関連事業」の売上高は2021年3月期は多かったのですが、2022年3月期は減少傾向にあることが分かります。収益認識基準の適用による減少が2022年3月期は146百万円あるとのことですが、それ以上に減少していますね。
利益に目を向けてみると、ほとんどの利益が「メカトロニクス関連事業」と「電子機器関連事業」から計上されており、特に2022年3月期は安定してこの2事業から利益が出ていることが分かります。
ディスプレイ関連事業は毎四半期赤字を多く計上しています。
また、産業機器関連事業においても、売上高はあまり計上されていないにもかかわらず、損失は多額に計上されている事業となっています。
YACの業績
YACの過去の業績は以下の通りです。

2019年3月期までは順調に推移していましたが、米中貿易摩擦及び新型コロナウイルス感染拡大の影響により全般的に製造業の設備投資が抑制されたため、一時的に業績が落ち込みました。
その後は順調に回復基調にありますが、「ディスプレイ関連事業」と「産業機器関連事業」からは投資が先送りされるなどまだ回復していません。

業績予想の修正
2022年3月期3Q短信が発表されると同時に2022年3月期の業績予想も情報修正されました。
売上高については、受注は好調ではあるものの、世界的なサプライチェーンの停滞により一部部材の納期遅延等により、前回の発表予想を下回るとのこと。
営業利益、経常利益については、当期初より取り組んでいる業務効率化の施策が功を奏し、前回の発表予想を上回るとのこと。
この通期予想に基づくと2022年4Qの決算数値は以下のようになります。

マグネシウム電池
ここまでいろいろと記載してきましたが、ワイエイシイホールディングスの本命はマグネシウム電池です。
2022年2月4日に「マグネシウム電池 量産体制整備のお知らせ」がありました。
そこで、マグネシウム電池の開発者である矢部孝 東京工業大学名誉教授の名前とともに、マグネシウム電池の量産体制の整備に取り掛かっていることがリリースされたのです。
Youtubeでの動画はこちら☞https://www.youtube.com/watch?v=TBnEPlSua3s

マグネシウム電池関連銘柄として検索してみても、YACが出てくることはなかったのでとても意外で、しかも矢部教授との協力して事業を行うということでとても驚きました。

そして3月23日に「マグネシウム電池 量産試作品完成のお知らせ」がリリースされ、すでに量産試作品が完成したとのこと、そして来年度(2023年3月期)の第1四半期末を目途に量産化を開始するとのことが分かったのです。
Youtubeでの動画はこちら☞https://www.youtube.com/watch?v=O5jU6LddUxo

週刊エコノミスト2021年11/9号でも矢部式マグネシウム電池の特集が掲載され、動画もオンラインで確認できます。https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20211109/se1/00m/020/052000c
矢部教授は2005年から海に無尽蔵に含まれるマグネシウムをエネルギーとして活用する構想、「マグネシウム循環社会」を提唱してきており、ついにその技術が完成し実用化の段階まで来たのです。

矢部氏が開発した電池はマグネシウム電池としては世界初ではない。先行して商品化された製品のうち、ある上場企業が販売する製品(注水後約3・6キロ)は最大出力が6ワット。また、別の企業が販売している製品(注水後約4キロ)で最大出力は25ワット。つまり、性能は矢部氏の電池が既存製品を大幅に上回っている。
既存製品と「矢部式マグネシウム電池」に大きな違いが出る理由は、「スペーサー」の構造にあるという。矢部式電池は、内部に正極と負極がずらっと並ぶ構造になっており、これではショートが起きてしまい、使い物にならないというのが電池技術者の常識だった。矢部氏は、スペーサーの構造を工夫して大きな電流を流してもショートが起きない仕組みを考案した。日本、米国、中国で特許を取得済みだ。
引用元:週刊エコノミスト
ワイエイシイメカトロニクス株式会社にて量産体制を構築し、7月から月産1,000台の量産を可能にする生産体制を構築していくとのこと。
矢部氏教授は以下のように量産化されるマグネシウム電池とその活用を説明している。
- 日本全国にある56,000店舗あるコンビニの各店舗に設置することで25台の携帯電話を一度に充電できる。停電で充電する場所がない時などの災害時に役立つ。
- これだけコンパクトで250kWh(従来のマグネシウム電池の20倍以上の出力)の高出力が出せるものは現在存在しない。
- 中国のバイクベンチャー企業が関心をもっている。山間部や草原地帯など、電気のない場所を走ることができる。
- 人工透析などの医療用としてもニーズがあると見込む。
- すでに電動バイク用と、非常用用途で日本および中国で数千台の発注がある。一刻も早く製品化し、世界に普及させていきたい。
- 「MegaBaY250」の24台分の次期機種「MegaBaY6000」(2022年夏に完成させたい、一台100万円超)も設計中で、これは「人工透析器」などの大きな危機の電力供給に寄与できると期待。
また矢部教授とYACは「海水淡水化装置」の開発も進めていて、今後世界的に水不足が予期されていますが、それに対する答えとして期待できるのではと考えています。
YACでは矢部教授とタッグを組んでからいくつもの環境配慮型製品を研究開発しており、ますます期待できます。
気になる事項
矢部教授と協力して完成したマグネシウム電池はもともと矢部教授が代表取締役を務める特許権者である㈱シーアイピーソフトが特許を取得しているので、YACは協力して製造するだけ。
そして、もし仮に矢部教授がYACで製造やーめたとできるのであればYACに対して強い立場にあるのではないか。
テクニカル分析

2022年2月のマグネシウムの量産しますというリリースで高値を目指しましたが、1,350円付近の高値を超えることができませんでした。
しかし3月23日のすでに量産試作品が完成したとのこと、そして来年度(2023年3月期)の第1四半期末を目途に量産化を開始するとのリリースで一気に抜けていきました。
出来高を伴う上昇ですのでテクニカル的には非常に強く、連日上昇しており、すでに9連騰中。時価総額がまだ150億程度の会社ですので、今後どこまで上がるのか楽しみです。

ミネルヴィニ投資におけるステージ
ミネルヴィニの成長株投資については、以下の記事をご参照ください。
⇒ミネルヴィニ成長株投資法

2020/1までは下落続きですのでステージ4、それから底打ちして2022年1月まではステージ1、直近の上昇がステージ2に該当すると考えます。
ただ2020/7からの出来高はそれ以前とは比較にならないほど伸びているので、もしかしたらこの時に矢部教授がワイエイシイホールディングスと協力体制に入ったことを知っている人はいたのかもしれません。
ステージ1は出来高が大きくないのが特徴ですので、2020/3~2020/6の間だけがステージ1で、2020/7から上昇トレンドであるステージ2に入っていたのかもしれませんね。