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【企業別分析】霞ヶ関キャピタル(3498)

霞ヶ関キャピタル株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。

企業概要

企業名霞ヶ関キャピタル株式会社
上場市場(上場年月)東証グロース(2018/11)
時価総額(業種別時価総額順位)363億円(不動産業 43 / 147 社)
外国法人持株比率5.4%
予想配当利回り1.37 %
監査法人太陽有限責任監査法人
業務内容物流施設やホテル、ファンド、ヘルスケア関連施設の開発事業を展開。観光需要対応のアパートメントホテルを主要観光都市で手掛け、環境配慮型の物流施設開発を推進。リオープニングを追い風に、中間期は増収利益急伸。 記:2023/04/04

  転載元:FISCO

競合他社

霞ヶ関キャピタル株式会社の競合他社としては、同じ不動産業に属する企業で、オフィスビルや商業施設などの開発や運営を行っている企業が挙げられます。例えば、三菱地所株式会社東急不動産株式会社野村不動産株式会社などがあります。

これらの競合他社との差別化を図るために、霞ヶ関キャピタル株式会社は、戦略的コンサルティング型デベロッパーとして、お客様のニーズに応じた最適な不動産ソリューションを提供しています。

ロードスターキャピタルとは競合会社?

ロードスターキャピタルは、霞ヶ関キャピタルと同じ不動産業を営む会社ですが、ビジネスモデルや事業領域には違いがあります。

  • ビジネスモデル
    • 霞ヶ関キャピタルは、自社で不動産開発を行い、開発用地取得時のみアセットにのるため資金効率が高く財務が健全です
    • ロードスターキャピタルは、既存ビルの売買をメインに行い、売却益や賃料収入を得ることで収益を上げています
  • 事業領域
    • 霞ヶ関キャピタルは、物流施設やホテルなどの不動産開発・運営事業を強化し、多角化を図っています
    • ロードスターキャピタルは、オフィスビルや商業施設などの都市型不動産に特化しています

事業内容

霞ヶ関キャピタル株式会社は、不動産開発や投資、運用などの事業を行っている会社です。

主にオフィスビルや商業施設、ホテルなどの都市型不動産を手がけており、戦略的コンサルティング型デベロッパーとして高い収益力と低いリスクを両立させたプロジェクトを展開しています。

得意分野としては、不動産の価値を最大化するための戦略立案や実行支援(戦略的コンサルティング型デベロッパー)、不動産ファンドの設計や運営(成果報酬志向型ファンドマネージャー)などが挙げられます。霞ヶ関キャピタル株式会社は、不動産に関するあらゆるニーズに応えることができるトータルソリューションプロバイダーとして、お客様のパートナーとなることを目指しています。

戦略的コンサルティング型デベロッパー(KC1.0)
霞が関キャピタル HP

戦略的コンサルティング型デベロッパーとは、不動産を保有しないデベロッパーのことです。

霞ヶ関キャピタル株式会社は、お客様のニーズに合わせて、不動産の企画・開発・運営・売却などの一連のプロセスを提案し、実行することで、高い収益力と低いリスクを両立させています。

また、自社でファンドを運用することで、不動産の価値を最大化し、投資家に安定したリターンを提供しています。これが、戦略的コンサルティング型デベロッパーとしての霞ヶ関キャピタル株式会社のビジネスモデルとなっています。

成果報酬志向型ファンドマネージャー(KC2.0)
霞が関キャピタル HP
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KC1.0は従来のビジネスモデル、KC2.0は新しいビジネスモデルになります。詳細はこちら

強み・弱み

霞ヶ関キャピタルの強みとしては、以下が挙げられます。

  • 戦略的コンサルティング型デベロッパーとして、不動産を保有しないことで、事業リスクと財務リスクを低く抑えることができる
  • 企画力・ソーシング力・ストラクチャリング力・ファンドマネジメント力の4つの力を持ち、お客様のニーズに応えることができる。
  • 利益率が非常に高い。

霞ヶ関キャピタルの弱みとしては、以下が挙げられます。

  • 創業まもない会社であり、知名度やブランド力が低い。
  • 不動産市場の変動に左右されやすい。

不動産開発のニーズが高まる中で、コンサルティング型デベロッパーとしての差別化を図ることが期待されます。

目標とする経営指標

霞ヶ関キャピタルは、2022年8月期から2026年8月期までの5カ年の中期経営計画「霞ヶ関キャピタル2.0計画(KC2.0)」を発表しています。

計画最終年度(2026年8月期)の財務目標は以下の通りです。

  • 営業利益:200億円
  • 当期純利益:100億円
  • 配当性向:30%以上を維持
バフェットコード

事業セグメント

霞ヶ関キャピタルの事業セグメントは、以下の通りです。

セグメント取扱商品またはサービスの内容
不動産コンサルティング事業主に不動産の取得、開発、売却、投資等、またはそれらに対するコンサルティング及びショッピングセンター運営を行う。

業績

霞ヶ関キャピタルの過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

EPSの推移と予想EPS

四季報データより作成

毎年順調に増収増益となっています。

四半期EPS推移

四季報データより作成

2023年8月期3Qは、売上高は184億円(前年同期比+65.7%増)、営業利益は10.4億円(前年同期は3.1億円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5.4億円(前年同期は5.0億円の損失)となりました。

同社グループの主たる事業領域である不動産市場においては、2022年12月に日本銀行による10年国債金利の変動許容幅拡大があったものの投資家の投資意欲への影響は限定的で、反対にコロナ禍による影響が大きかったホテルや商業施設等のアセットは稼働率の改善とともに投資家の投資意欲の高まりが顕著にみられています。

なお、同社の借入金利に直結する短期金利はほとんど変動していないため、支払利息に影響は出ていません。

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2022年12月に行われた日銀による長期金利引き上げに伴う不動産投資家の姿勢変化、国内金融政策のさらなる変更、金融機関の融資姿勢の厳格化など、不動産市況に調整局面が訪れる可能性に留意が必要です。

連結売上高、利益の推移(2Q時点)

物流施設開発⽤地の売却やFAV HOTEL(10件)を対象とした⻑期運⽤型ファンド組成の成功報酬等が売上を牽引し、前年同期⽐1.55倍に伸⻑しています。

プロジェクトパイプラインの詳細

物流

物流関連市場においては、通信販売・電子商取引の拡大とそれに伴う宅配取扱個数の増加を背景に倉庫面積や拠点を拡充する企業が増加すると見込まれており、自家用に加え3PL(サードパーティロジスティクス)事業者の利用拡大等を背景とした物流施設需要は引き続き高く、今後も増加すると見込まれています。

同社グループでは、中小型・冷凍冷蔵倉庫をメインターゲットに物流施設開発を進めていますが、物流施設開発用地4件を開発フェーズに移行させています。加えて、開発用地1件を取得、物流施設3件が竣工するなど、順調に開発を進捗させています。

売上計上時期

物流施設用地を仕入れて、その後①当該用地をSPC等に売却し、物流施設の施工後②その物流施設のアセットマネジメントを行うスキームが一般的で、①はSPC等との売買契約締結日(決済予定日であることが一般的)に用地売却に係る売上が計上され、②ではマネジメントフィーが計上される形になります。

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まずは、物流施設開発からKC2.0化、中期的にアパートメントホテルや再生可能エネルギー施設などのアセットに対してもKC2.0を拡大予定とのこと
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2Q、4Qに用地/施設売却されることが多いので、当該四半期に売上高が立つことが多いのですが、FY2023は1Qにも大きめの用地売却があったことから売上が立っています。

開発スケジュール

コロナ禍においても積極的に開発し、FAV HOTEL10件(総額約135億円)の⻑期運⽤型ファンドを組成しており、同社ビジネスモデルを完遂した初の事例であり、今後も引き続き開発案件のファンド化を進めていく計画となっています。

ホテル

ホテル関連市場においては、国内旅行は行動制限緩和や全国旅行支援により、2022年9月から2023年4月までの日本人宿泊者数はコロナ禍前の同期間(2019年9月から2020年4月)を上回りました。

他方、インバウンド需要は2022年10月11日の外国人の新規入国制限見直しをはじめ水際対策措置が見直され、2023年4月の外国人宿泊者数はコロナ禍前の2019年4月に比べても遜色のない数値に回復しています。

このような状況を背景にして、11月に「FAV HOTEL 鹿児島中央」、12月に「FAV HOTEL 広島平和大通り」・「FAV TOKYO 西日暮里」、3月に「FAV TOKYO 両国」が開業を迎えています。さらに2月にはアパートメントホテル10件を対象とした総資産額約135億円の長期運用型ファンドを組成しています。

また、ホテル開発用地3件を取得、開発用地1件を開発フェーズに移行しています。続く6月にも開発用地1件を取得するなどホテル開発・運営は社会経済活動正常化の潮流を受け順調に進捗している状況です。

アパートメントホテル10件を対象とした長期運用型ファンド組成

2023年2月24日に、これまで霞ヶ関キャピタルが開発・運営企画を手掛けてきた『FAV HOTEL』10件を対象不動産として組成する長期運用型ファンドを組成したことがリリースされました。

本ファンド組成はホテル開発事業において、土地のソーシングから開発を経てファンド組成およびアセットマネジメント業務の受託までおこなう同社のビジネスモデルを完遂した第1号案件となります。

売上計上時期

ファンド組成に係る同社の売上は①開発投資家から受領する成功報酬、②ファンド組成にあたり同社グループが代行保有を目的に一時的に取得していた物件(4件)の売上、③本ファンドより受領するファンドセットアップ報酬、④本ファンドより受領するアセットマネジメント報酬があり、その合計額は適時開示基準である直前連結会計年度(2022年8月期)における売上高の10%に相当する額以上です。

売上の計上時期は各種取引の決済時点(2023年2月28日)であり、2023年8月期の第2四半期に計上されます。

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上記ファンド以外については、物流施設と同様にホテル開発用地を売却した段階で売上が計上され、その後マネジメントによりフィーを継続的に受領し、売上が立ちます。

AUM(運用資産残高)進捗

AUMは1,656億円まで伸⻑。パイプラインも含めると事業規模総額は2,449億円を達成、今期のAUM総額⽬標に向けて順調に積み上がっており、管理報酬増加につながっています。

2023年8月期 通期業績修正

2023年7月4日にFY2023-3Qの決算短信が公表されましたが、同時に業績予想の上方修正が発表されました。

上方修正の主な理由としては以下の通りです。

  • アパートメントホテル事業において、新型コロナウイルス感染症の影響を保守的に想定していたが、社会活動の正常化に向けた動きが加速したことにより各案件の収益性が向上したこと
  • 物流事業において、同社が企画・開発をおこなったドライ倉庫について、当初は竣工後一定期間経過後に売却される可能性を考慮した見通しを作成していたが、想定よりも早期にすべての物件の売却が決定したため

なお、今回売却したドライ倉庫の一部は連結子会社であるロジフラッグにて開発を行っていたものですが、売上・利益は連結業績に合算されるものの、当期純利益については非支配株主持分に該当する利益は控除されるため構成比は小さくなっています。

この修正後の業績に基づくFY2024-4Qの業績推移は以下の通りです。

中期経営計画

霞ヶ関キャピタルは、2022年8月期から2026年8月期までの5カ年の中期経営計画「霞ヶ関キャピタル2.0計画(KC2.0)」を発表しています。この計画では、以下の3つの基本方針を掲げています。

  • 事業領域の拡大と多角化
    • 物流施設やホテルなどの不動産開発・運営事業を強化し、収益源の多様化を図る
    • 海外事業や新規事業にも積極的に取り組み、成長機会を捉える
  • 組織力の強化と人材育成
    • 組織体制の見直しや人事制度の改革を行い、経営効率とスピード感を高める
    • 人材の採用・育成・定着に注力し、優秀な人材を確保する
  • ESGへの取り組みと社会貢献
    • 環境に配慮した不動産開発や省エネルギー化を推進し、CO2排出量の削減に努める
    • 社会的課題の解決に貢献する事業や活動を展開し、ステークホルダーとの信頼関係を構築する

霞ヶ関キャピタル2.0(KC2.0)

霞ヶ関キャピタルの従来の収益モデルは、土地売却によるキャピタルゲインとコンサルティングによる運用フィー及び成功報酬から成る「コンサルティング型(KC1.0)」でした。短期間に資金回収でき開発リスクのオフバランス化が可能で、資金効率を高めた経営が特徴である一方、開発利益の多くは社外の開発投資家に流出してお、1つのプロジェクトから同社が享受できる利益は3割程度でした。

「霞ヶ関キャピタル2.0(KC2.0)」では、「コンサルティング型(KC1.0)」の強みである資金回転率及び開発リスクのオフバランス化を維持しながらも、社外に流出した開発利益を取り込むことを目的に、新たな収益モデルとして「パートナーシップ型(KC2.0)」を策定しています。

「パートナーシップ型(KC2.0)」は、「コンサルティング型(KC1.0)」に比べて収益化のタイミングは遅くなるが収益の総額は大きくなる見通しです。開発利益の66% を取り込めるうえ、オフバランス化によって開発リスクは軽減されることで、販売費及び一般管理費は増やさずに大規模な事業にも取り組むことが可能となります。

上述したようにパートナーシップ型での開発を行うKC2.0では開発利益を大きく取れるため、KC1.0(コンサルティング型)からKC2.0に移行すれば利益は急増する見込みとなっています。

計画最終年度(2026年8月期)の財務目標は以下の通りです。

  • 営業利益:200億円
  • 当期純利益:100億円
  • 配当性向:30%以上を維持

テクニカル分析

TradingView

不動産を売却した際に売上・利益が計上される特性上、業績が変動しやすく、それにより株価のボラティリティが高くなっています。

株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。

株価からBPSを控除した金額の時間推移を利用した予測モデルをModel1、株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。

相関係数はModel1で53.3%、Model2で98.7%となっておりますので、株価とEPSには強い相関があるといえます。

相関係数の絶対値一般的な解釈
0~20%ほとんど相関関係がない
20~40%やや相関関係がある
40~70%かなり相関関係がある
70~100%強い相関関係がある

Model1

Model1で算出した価格は2023年8月期で5,660円、2024年8月期で7,005円となっています。

Model2

予想EPSは2023年8月期が245.5円、2024年8月期が270.2円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ7,456円8,106円となっています。

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2018年上場でサンプル数が少ないので、あまりアテになりませんね。

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