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【企業別分析】日本特殊陶業(5334)

日本特殊陶業株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。

企業概要

企業名日本特殊陶業株式会社
上場市場(上場年月)東証プライム(1949/5)
時価総額(業種別時価総額順位)5,037億円(ガラス・土石製品 4 / 57 社)
外国法人持株比率33.4%
予想配当利回り6.73 %
監査法人有限責任 あずさ監査法人
業務内容自動車用スパークプラグ世界最大手。スパークプラグ、セラミックス製品を製造し、排気系センサーでも世界首位。自動車関連は堅調。好調な新車組付け用製品の販売、円安効果などが寄与。23.3期2Qは収益好調。 記:2023/01/10

  転載元:FISCO

JPX日経インデックス400構成銘柄への選定

日本特殊陶業は「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄に選定されています。

JPX 日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。

現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。

ガラス・土石製品業で JPX 日経インデックス400に採用されている会社は以下の通りです。

事業内容

日本特殊陶業は自動車関連製品、セラミック製品、新規事業に関する製品(燃料電池等の環境エネルギー分野に関する製品)の製造販売等を主な事業内容としています。

1936年にプラグメーカーとして創立した日本特殊陶業は、プラグの素子であるセラミックス開発技術をベースに、ニューセラミック製品の研究開発を開始。

センサ、機械工具、半導体事業、バイオセラミックスによる医療関連と事業領域を拡大してきました。

日本特殊陶業 HP

目標とする経営指標

2025 中期経営計画の最終年度となる2025年3月期に、以下の財務目標を掲げています。

  • 売上収益:6,000億円
  • 営業利益:1,000億円
  • 営業利益率:17%
  • ROE:12%
  • ROIC:10%
バフェットコード

事業セグメント

日本特殊陶業の事業セグメントは、以下の通りです。

セグメント取扱商品またはサービスの内容
自動車関連スパークプラグ、グロープラグ、自動車用各種センサをはじめとした自動車部品の製造販売を行う。
セラミック工作機械用の切削工具、産業用セラミック製品、半導体製造装置用製品、ICパッケージをはじめとした半導体部品、医療用酸素濃縮装置等の製造販売を行う。
新規事業燃料電池等の環境エネルギー分野に関する製品をはじめとした、新規事業に関する製品の製造販売を行う。

売上の規模としては「自動車関連事業」の割合が大きく、続いて「セラミック事業」が大きいです。

利益は収益率の高い「自動車関連事業」が大きく、「セラミック事業」に関しては半導体製造装置需要の高まりを受けて増加してきました。

業績

日本特殊陶業の過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

EPSの推移と予想EPS

四季報データより作成

毎年順調に増収増益となっています。

四半期EPS推移

四季報データより作成

2023年3月期3Qは、売上高は4,192億円(前年同期比+17.0%増)、営業利益は805億円(前年同期比+47.2)、親会社株主に帰属する四半期利益は593億円(前年同期比+41.2%)となりました。

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2Qでは為替の影響が151億円もあります。前年上期の実績では米ドル109.8円、当上期の実績は134.0円ですので大幅な上昇となっています。為替の影響を除くと+27億円で+7.9%の増加となります。

3Q金融収益/費用

3Qでは営業利益EPSまでは順調ですが、それ以降(IFRSなので経常利益はない)のEPSは2Qに比較して減少しています。

これは金融費用が多額に計上されており、その内訳は外貨建債権の為替差損であると思われます。

3Q会計期間だけでネットで50億程度の金融費用が発生しています。

USDの期中平均レートが3Qで142円を適用しているのでそれにも直近の円高の影響が加われば営業利益EPSにも悪影響を与えてきます。

自動車関連事業

当社グループの主要な事業基盤である自動車業界における新車販売は、車載向け半導体の供給不足や原材料価格の高騰、中国のゼロコロナ政策による部品供給の混乱等のマイナス要因に徐々に改善の兆しが見られ、車両全体で見れば前年同期比で増加する結果となりましたが、内燃機関を有する車両では中国のCOVID-19の影響などを受け横ばいの状態が継続しています。

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EVは増加しているけど、ガソリン車は横ばいってことね、、

半導体不⾜の解消に伴い、相対的に販売に占める補修⽤プラグの割合が減少となるが、センサの売上が回復することで⾃動⾞関連事業全体では収益を伸ばすことを想定しています。

セラミック事業

セラミック事業は、自動車関連向け機械工具の出荷が回復基調であり、半導体製造装置用部品についても、汎用向けでは半導体製造装置における混乱により、需要に陰りが見られるものの、当社取り扱い製品においては世界的な半導体需要に対応する旺盛な設備投資により堅調に推移しました。

半導体製造装置業界においては、ウクライナ問題やインフレの影響、供給網の混乱による部品不足は継続しているものの、大手ロジック・ファウンドリーの積極的な投資姿勢は維持されており、今期末までは、引き続き高い成長を見込んでいます。

2023年3⽉期 通期修正計画

⾃動⾞関連事業は、半導体不⾜からの回復により、新⾞組付け⽤製品の売上回復を想定しています。

­成⻑領域は、SPE事業(半導体製造装置用部品事業)を中⼼にさらなる成⻑を想定。メモリ向け半導体製造装置を中⼼に、今期から来期にかけて半導体製造装置市場の減速が予想されている。­ その状況下において当社のSPE事業では、市場ニーズと当社の積層技術との親和性がより増すと考えているため、さらなる売上の伸⻑を想定。

­ロシア・ウクライナ情勢の影響による資材価格、エネルギー価格のさらなる上昇を織り込んでいます。­ 営業利益率は通期でも19%台を計画しています。

以下は、営業利益の2023年3月期の上期と下期の増減内訳を示しています。

テクニカル分析

TradingView
TradingView

ここ数年は業績が上下していたので、株価もレンジ相場を形成しています。

2013年あたりからは出来高が増えており、またここ数年は業績も右肩上がりですので、高値を更新する可能性もあると考えています。

株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。

株価からBPSを控除した金額の時間推移を利用した予測モデルをModel1、株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。

相関係数はModel1で67.4%、Model2で40.3%となっておりますので、株価とEPSにはかなり相関があるといえます。

相関係数の絶対値一般的な解釈
0~20%ほとんど相関関係がない
20~40%やや相関関係がある
40~70%かなり相関関係がある
70~100%強い相関関係がある

Model1

Model1で算出した価格は2023年3月期で2,524円、2024年3月期で2,704円となっています。

Model2

予想EPSは2023/3期が418.1円、2024/3期が427.9円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ3,394円3,437円となっています。

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