
ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。
記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。
ウルトラファブリックスの企業概要
企業名 | ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社 | 設立年月日 | 1966/1 |
時価総額 | 430億円 | 業種別 時価総額順位 | 化学 94 / 217 社 |
上場年月 | 2003/2 | 上場市場 | 東証スタンダード |
従業員数 | 連 304 名 単 8 名 | 外国法人持株比率 | 2.5% |
予想配当利回り | 0.65 % | 監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 |
業務内容 |
湿式ポリウレタンレザーメーカー。製造販売は国内の第一化成、販売は米国子会社のUltrafabrics。米大手自動車メーカーが主要顧客。家具用にも定評。自動車メーカーと航空機向けが伸長し、中間期は利益急伸。 記:2022/08/13 |
転載元:FISCO
ウルトラファブリックスの事業について

ウルトラファブリックスグループは、ポリウレタンレザーの製造及び販売を行っています。
製品は国内子会社である第一化成株式会社が製造し、主要な販売は米国子会社であるUltrafabrics Inc.が行っています。
なお、Ultrafabrics Inc.は欧州に100%子会社を保有しています。
目標とする経営指標
ウルトラファブリックスは、中長期的な業績見込みにおける売上収益、EBITDA、自己資本利益率を重要な経営指標として位置付けています。
また、2022年中計の財務指標については、以下の財務目標が掲げられています。
- 売上収益:225億円
- 営業利益:31億円
- EBITDA:49億円
事業セグメント
ウルトラファブリックスの事業セグメントは以下の通りです。
セグメント | 取扱商品またはサービスの内容 |
---|---|
ポリウレタンレザー製品製造及び販売事業 |
ポリウレタンレザーの製造及び販売を行う。 家 具 用:北米を中心に椅子を始めとしたハイエンドのオフィス家具に採用されており、ホテル、レストラン、劇場などで使用されるコントラクト家具用として提供しています。
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ウルトラファブリックスの業績
ウルトラファブリックスの過去の業績は以下の通りです。

EPSの推移と予想EPS

四半期EPS推移

2022年12月期2Qは、売上収益が89.5億円(+40.2%)、営業利益は12.4億円(+187.0%)、親会社に帰属する四半期純利益は9.0億円(+280.8%)となりました。
原材料の高騰や輸送コストの上昇、米国での人件費増加など厳しい状況ではあったものの、円安、製品構成の良化、生産量増加に伴う工場稼働の改善、為替差益等により、大幅な増収増益となっています。
2022年12月期の業績修正について
2022年8月12日に2022年12月期通期連結業績予想を上方修正しています。

修正の理由としては、想定為替レートを変更したことと価格改定を実施したことになります。
下期の前提為替レートを110円/$から125円/$に変更したことに加え、一部価格改訂効果もあって売上収益は前回予想を上回る見込みです。
また、輸送コストの高止まりや原材料、株式報酬費用など、前回予想に比べて増加する費用もありますが、円安や価格改訂効果により営業利益・税引前利益・当期利益はさらに上振れる見込みとなっています。

株式報酬費用とは報酬のうち、ストックオプションに対応する金額を『新株予約権』(純資産)勘定で処理するとともに、人件費の一部前払いと考え同額を「株式報酬費用」として計上しているものです。
ウルトラファブリックスでは役員、従業員にストックオプションを付与していますから、そのストックオプション代が費用として計上されます。付与する数は既に決定済みなので、株価が上昇し、ストックオプションの価値が高まるごとに株式報酬費用の金額も多くお委譲しなければなりません。
計画では株価が3,000円想定で計上しており、100円/株の上昇で5.8百万円増加することになりますから、現在の5,630円の株価の場合は株式報酬費用が152.5百万円増加する計算になります。
用途別売上高

家具用
ホームオフィス関連需要とオフィスの改装需要が背景にコントラクト家具とヘルスケア向けは大手顧客の需要が旺盛となり、家具向け全体の販売は前年同四半期を上回りました。
一方で住宅向けや販売店向けが、在庫不足と足許のインフレや景気減速の影響を受けて弱含みしている状況です。
自動車用
シート用素材分野における自動車メーカーの生産拡大による大幅な販売増が寄与し、自動車向け全体は前年同期比で大幅に拡大しました。
この結果、自動車用の売上収益は34億83百万円(前年同四半期48.0%増)となりました。
航空機用
ビジネスジェット向けが大きく拡大し、民間航空機向けも小幅ながらの伸びを見せたことから、航空機向け全体では前年同期比で大幅増となりました。これは航空業界全体として更新需要が活発なことに起因しています。
この結果、航空機用の売上収益は6億86百万円(前年同四半期比63.2%増)となりました。
その他
堅調な消費動向を背景に、キャンピングカー・クルーザー等のレジャー関連向けはいずれも受注残解消需要が強く大幅な伸びを記録し、アパレル向けは品質が高く評価されて大幅増収となりました。
自己株式の取得
2022年9月5日に自己株式の取得がリリースされました。
大規模な自己株式の取得で最大で430,000株(5.5%)が取得されることになります。

2024年に向けた事業の方向性
最後に2022年2月14日にリリースされた中期経営計画(2022年度~2024年度)について記載しておきます。
基本方針としては、①成長の複雑化、②規模拡大・収益性改善による財務企業価値の向上、③サステナビリティの重視による非財務企業価値の向上を図ることとしています。
目標とする業績目標は以下の通りです。
- 売上収益:225億円
- 営業利益:31億円
- EBITDA:49億円
テクニカル分析

2021年に入ってから業績とともに株価も大きく上昇し、そのまま上場来高値を更新しています。
急騰したため株価もどこを目指しているのか検討をつけることは難しい状況ですので、サポートラインを引けるようになってからトレードしたほうが無難です。
ここ2年の営業利益の成長率は2年連続で60%を超えていますので成長率を60%、PEGレシオを1とすると、株価は12,434円となります。
2025年計画で示された営業利益の成長率が27.9%なので成長率を27.9%、PEGレシオを1とすると、株価は5,781円となります。
PEGレシオ(Price Earnings Growth Ratio)=PER÷1株当たり利益成長率として算定する株価収益率(PER)が割高か割安かを図る指標。特にグロース銘柄に対して使用する指標です。一般的には PEGレシオが1を下回ると割安、2を上回ると割高と判断されます。

株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。
BPSを加味した株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel1、単純に株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。
上グラフを見ていただくと分かるのですが、2017年12月期前後で株価とEPSの関係に違いがあるので2017年12月以降のデータのみで相関係数を算出しています。
その結果、相関係数はModel1で60.3%、Model2で62.6%となっており、EPSと株価にかなりの相関があるといえます。
相関係数の絶対値 | 一般的な解釈 |
---|---|
0~20% | ほとんど相関関係がない |
20~40% | やや相関関係がある |
40~70% | かなり相関関係がある |
70~100% | 強い相関関係がある |
Model1
予想EPSは2022/12期が217.1円、2023/12期が236.3円となっており、Model1で算出した価格はそれぞれ3,728.8円、4,078.1円となっております。

Model2
予想EPSは2022/12期が217.1円、2023/12期が236.3円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ3,644.2円、3,838.5円となっております。
