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【企業別分析】レーザーテック(6920)

レーザーテック株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

レーザーテックの2022年6月期 第2四半期決算は2022/1/31公表予定です。

レーザーテックの企業概要

企業名 レーザーテック株式会社 設立年月日 1962/8
時価総額 2,541,951 百万円 業種別 時価総額順位 電気機器 14 / 247 社
上場年月 1990/12 上場市場 東証1部
従業員数 連 529 名 単 328 名 外国法人持株比率 35.9%
決算月 6月 監査法人 PwCあらた有限責任監査法人
業務内容 半導体マスク欠陥検査装置など半導体関連装置が主力。レーザー顕微鏡、エネルギー・環境関連装置等も手掛ける。半導体関連業界の積極投資により、四半期受注高は過去最高。22.6期1Qはサービス部門が増収。 記:2021/11/12

  転載元:FISCO

競合他社について

半導体検査装置メーカーとしては以下の企業があります。

売上高純利益強み
米KLAテンコール4,916億円1,264億円ウエハーやマスクなど製造段階の検査装置でトップ
日アドバンテスト2,758億円535億円米ヴェリジーを買収し、半導体検査装置で世界シェア首位級に
米テラダイン2,469億円503億円半導体検査装置で大手
日レーザーテック425億円150億円EUV露光に使用するマスク検査装置

JPX日経インデックス400構成銘柄への選定

レーザーテックは「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄に選定されています。

「JPX 日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。

現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。

電気機器で JPX 日経インデックス400に採用されている会社は以下の通りです。

レーザーテックの事業について

レーザーテックは「世の中にないものをつくり、世の中のためになるものをつくる」を経営理念として、半導体・FPDをはじめとする先端分野の市場向けに、光応用技術を用いた各種検査・計測システムを提供してきた会社になります。

経営戦略としては以下の3つになります。

1
グローバルニッチトップ戦略

当社は、お客さまから高い技術力と付加価値が求められ、技術的な差別化が可能な市場で、高シェアと高収益の獲得を目指しています。また半導体産業の世界的なリーダー企業と緊密に情報共有を図り、強固な信頼関係を構築しています。

2
スピード開発戦略

お客さまのニーズに対して、いち早くソリューションを提供しています。当社のフラットで柔軟な組織が、迅速な意思決定、お客さまのための素早い行動と最速の製品開発を可能にしています。

3
ファブライト戦略

生産を外部委託することで機動的な事業運営を可能にしています。当社は開発に特化(約7割の社員がエンジニア、売上の10%が研究開発費)し、継続的な新製品開発を可能にしています。また試作品は自社で製作し、生産に適した設計を実現しています。

事業セグメント

レーザーテックが営んでいる主な事業内容は、半導体関連装置及びその他の装置等の設計、製造、販売並びにこれらに係るサービスになります。

これらは検査・測定装置の設計、製造、販売を行う単一のセグメントのため、セグメント別の開示はありません。 (有価証券報告書2021年6月期の【事業内容】P5およびレーザーテックHPより)

レーザーテックは生産設備をほとんど持たない「ファブライト」企業で、基本的には外部の協力会社に生産を委託している。ただその生産装置を作っているのはレーザーテックのエンジニアです。

セグメント 取扱商品またはサービスの内容
検査・測定装置の設計、製造、販売事業

半導体関連装置及びその他の装置等の設計、製造、販売ならびにこれらに係るサービスの提供を行う。

主な産業分野と主力装置については以下の通りです。

a.半導体

マスクブランクス、フォトマスクおよびウェハの検査・計測装置

主力製品であるフォトマスク関連の欠陥検査装置に関しては、EUVマスクブランクス欠陥検査装置が業界標準の検査装置として採用されているほか、マスク欠陥検査装置も最先端のリソグラフィにおいて高いシェアを獲得しています。

今のところ最先端のEUV(極端紫外線)のマスク検査装置を製品化している唯一の会社マスクブランクス検査装置シェア100%

半導体を作る際に回路パターンをウエハー(集積回路を作る基盤)に露光装置を使って転写します。その露光装置の中でフィルムカメラのフィルムにあたるのがフォトマスク。レーザーテックのマスク検査装置は、そのフォトマスクに欠陥がないか、あるいはゴミが付着していないかを検査する装置です。

※ちなみにEUV露光装置はASML(オランダ)が市場を独占状態。

EUV露光はロジック半導体の回路線幅が7nmや5nmの製品の量産で使われはじめましたが、今後3nmや2nmといった微細な回路で使われるようになるので、検査装置の需要は増していくと予想。またロジックだけでなくDRAM(半導体メモリ)でも使われるようになるので市場は広がっていく。

マスク検査装置以外で成長が期待できる新規事業はSiC(炭化ケイ素)ウエハー検査装置。SiCで作ったパワー半導体は省エネ特性に優れ、EVに使われるので、その検査装置も需要が高まっていくと予想。

b.FPD(フラットパネルディスプレイ)

FPDフォトマスクの欠陥検査装置

高精細FPDフォトマスクの検査装置として、業界標準の地位を確立しています。

以前はこのFPD関連製品が売り上げの約半数を占めていたが要求される技術は高くなかったため、光応用技術を活かせる事業展開をしてきた。

c.レーザー顕微鏡

高機能と多機能性を備えたハイブリッドレーザーマイクロスコープ

半導体材料、透明膜、コーティング材料、無機/有機材料、各種バイオ系試料、金属部品、プラスチック加工部品など、幅広い産業分野において、研究開発、品質管理に活用されています。ービス・プロバイダの端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末やICチップセット、その他関連電子部品メーカーでの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向けの計測器等が含まれる。

レーザーテックの業績

レーザーテックの過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

2021年6月期はEUV関連製品が牽引し、半導体関連装置が大幅増収。

また、納入台数、装置稼働数の増加に伴い、関連サービスも着実に成長中。

2022年6月期 1Q

SBI証券

主要販売先である半導体業界では、5Gのスマートフォンをはじめとする通信機器のほか、リモートワークやオンライン会議などの拡がりによるPC並びにデータセンター向けの最先端半導体の需要が堅調に推移。

こうした需要増に応えるためにロジック・メモリデバイスメーカーは積極的な投資を継続し、最先端のEUV(極端紫外線)リソグラフィを用いた半導体製造工程の導入を加速しており、レーザーテックの四半期受注高は1,083億7百万円と過去最高額を更新

第一四半期だけの売上を見ると減少していますが、受注額は前年同期比361%と急増しており、受注が舞い込んでいることがうかがえます。

受注高・生産高が売上高につながらない理由は?

売上高は収益認識基準によって計上できる要件が定められており、履行義務を以下の①または②で識別し、その履行義務が充足される時点、または充足されるにしたがって収益を認識します。
①一時点で移転される財
②一定期間にわたり移転されるサービス
レーザーテックの履行義務のほとんどは①一時点で移転される財、つまり製品を完成し引き渡した時点でやっと売上が計上できることになります。
受注や生産するタイミングと売上高を計上するタイミングが異なる理由はここにあります。一つ一つの値段が高額な装置を作っているので、検収のタイミング次第では売り上げはかなり上下するでしょう。

2021年6月期有価証券報告書

主要取引先は台TSMC、韓サムスン、米インテルなどのファウンドリーや自社で半導体を製造しているIDMになります。

ロジック半導体の製造工場だけでもTSMC(120億ドル)、サムスン(170億ドル)、インテル(200億ドル)は米国に巨大工場を新設すると各社発表しているので、今後も受注高は伸びていくことが予想されます

SBI証券

製造過程でEUV露光技術を採用するDRAMメーカー向けに、検査装置「ACTIS」の納入を開始。

2022年6月期から売り上げが本格寄与するが、初期ロットのコスト高により粗利率は一時的に低下する想定。しかし2023年6月期以降は原価低減が進み、粗利率は回復する見込み。

中期経営計画の進捗状況

Phase3+(2021年7月~2024年6月)は成長を支える基盤強化に注力する期間とし、強さを発揮でき、成長できる分野に経営資源を集中するを基本方針としています。

事業変化について

EUV市場

EUVL(EUVリソグラフィ)による5nmの量産が本格化しているが、2022年下期には3nmの量産が開始される見込み。

5nmのロジックデバイスで使われるEUVマスクの枚数が10数枚、それに対して3nmは20数枚と言われているので、EUVマスクの枚数はトータルで増加し、それに伴ってEUVマスクを検査する装置に関しても需要が増大する見込み。

リソグラフィとは、半導体を製造する際に、基板に光や電子ビームなどで回路パターンを転写する手法のこと

リソグラフィの手法では、光性樹脂の膜が形成された基板上に、光や電子ビームなどで回路パターンを現像し、さらに保護膜としての薄膜を化学加工して、半導体として製造される。半導体の微細化に伴って、使用される光は短波長に移行しており、最近では短波長の限界である極紫外線領域(EUV)にも達しようとしている。

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またロジック半導体のみならずDRAM(半導体メモリ)メーカーのEUVリソグラフィの量産投資がスタートし、Samsung、SK hynix、MicronもEUVリソグラフィを使うと発表。今後、EUVL市場は拡大していく見通し。

半導体業界について以下の記事で解説しています。
半導体業界の動向や現状

パワー半導体

これまでの半導体市場はメモリーやMPU(超小型演算処理装置)、ロジック半導体が市場を牽引してきましたが、今後は産業機器で使われるアナログ半導体パワー半導体センサーなどの需要が拡大することが見込まれます

パワー半導体がグリーン投資を呼び込む?

パワー半導体は自動車・産業機器、電力・鉄道、家電など、生活に関わる様々な電気機器の制御に使用されており、カーボンニュートラルに向けた電化社会にとって、こうした電気機器の省電力化は極めて重要になっています。
加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展するなか、情報通信技術(ICT)の高性能化やデータセンターの省エネ化にも貢献するとしていることもあり、巨額のグリーン投資の対象となっています。
今後の成長が期待できるパワー半導体への関心が一段と高まってきています。
パワー半導体産業は、現在約 3 兆円の市場規模ですが、2030 年には 5 兆円、2050 年には 10 兆円市場になる見通し。本分野は、日本企業がシェア 29%を保有するなど、半導体産業の中では日本企業が強みを持っている分野でもあります。

EVをはじめ世界的なカーボンニュートラル潮流により、省エネに優れたSiCウエハーが使用され、(レーザーテックが製造する)その検査装置も需要が高まっていくと予想されます

投資計画・投資効率

単位:百万円2020年6月期2021年6月期2022年6月期(予想)
売上高42,57270,24883,000
研究開発費3,2975,7064,500
売上高研究開発費比率7.7%8.1%5.4%
有形固定資産 ※7,9728,8459,800
営業利益15,06226,07427,000
営業利益対有形固定資産比率188.9%294.8%275.5%
設備投資額1,1035,7904,500
設備投資比率13.8%65.5%45.9%
※有形固定資産は期中平均、最終年度は期首残高

20/6期、21/6期は研究開発費比率が8%前後と高水準であったのに対して、22/6期は5.4%と落ち着いています。

直近2年に関しては有形固定資産残高の3倍近い営業利益を稼ぐことができているので投資が成功しているといえます。またこれほどまでに高い回収率を誇る理由はレーザーテックの付加価値の高さ故であるとわかります。

また設備投資についても直近2年は既存有形固定資産の半分ほどの投資を積極的に実施しているので、将来の利益につながることを期待します。

参考書籍