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【企業別分析】JFEホールディングス(5411)

JFEホールディングス株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。

企業概要

企業名JFEホールディングス株式会社
上場市場(上場年月)東証プライム(2002/9)
時価総額(業種別時価総額順位)1兆359億円(鉄鋼 2 / 43 社)
外国法人持株比率21.3%
予想配当利回り4.65 %
監査法人EY新日本有限責任監査法人
業務内容高炉国内2位のJFEスチールを中核とする持株会社。自動車用高級鋼板に強み。販売価格改善、コスト削減に取り組む。鋼材需要は好調続き、商社事業は堅調。市況上昇等で鉄鋼事業は大幅増収。23.3期2Qは2桁増収。 記:2022/11/06

  転載元:FISCO

日経平均株価(日経225)およびJPX日経インデックス400構成銘柄への選定

JFEホールディングスは「日経平均株価(日経225)」および「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄に選定されています。

日経平均株価(日経225)」は、日本経済新聞社が発表する株価指数のことで、東証1部上場銘柄のうち、代表的な225銘柄をもとに計算されています。日本の株式市場の大きな動きを把握する代表的な指標として用いられ、投資信託や先物取引などの商品にも利用されています。

東証1部の代表的な銘柄を選定して指標としているため、定期的に組み入れ銘柄の見直しが行われていますが、分母(除数)の修正などで株式分割や銘柄入れ替えなど市況変動以外の要因を除去して指数値の連続性を保っています。

JPX 日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。

現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。

鉄鋼業で JPX 日経インデックス400に採用されている会社は以下の通りです。

競合他社

JFEホールディングスの競合他社は、鉄鋼事業としては「日本製鉄」「神戸製鋼所」、エンジニアリング事業としては「住友重機械工業」「三菱重工業」、商社事業としては「伊藤忠商事」「丸紅」などが挙げられます。

JFEホールディングスと日本製鉄は、国内の大手鉄鋼メーカーであり、それぞれに優れている点があります。両者の比較を以下に示します。

  • 売上高:日本製鉄が8兆億円、JFEホールディングスが5兆2,000億円で、日本製鉄の方が約1.5倍大きい。
  • 純利益:日本製鉄が6,700億円、JFEホールディングスが1,500億円で、日本製鉄の方が収益性が高い。
  • 配当利回り:日本製鉄が5.8%、JFEホールディングスが4.6%で、日本製鉄の方が高い。
  • 環境貢献:JFEホールディングスは温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で18%削減する目標を掲げており、環境配慮型の高付加価値製品やサービスを提供しています。日本製鉄も温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で30%削減、2050年までに実質ゼロにする目標を掲げており、水素や再生可能エネルギーなどの新たなエネルギー源の活用に取り組んでいます。

以上のように、両者は規模や収益性では日本製鉄が優位ですが、環境問題への対応ではJFEホールディングスも見劣りしません。どちらも社会的課題に応えるために技術力や人材力を発揮しています。

事業内容

JFEホールディングスは、鉄鋼事業、エンジニアリング事業、商社事業の3つの事業を展開する持株会社です。

鉄鋼事業では、高品質な鋼材を製造・販売し、自動車や建築などの分野に貢献しています。

エンジニアリング事業では、エネルギーや環境などの分野で技術的なソリューションを提供し、社会インフラの整備や資源の有効利用に取り組んでいます。

商社事業では、鉄鋼製品を中心に様々な商品やサービスを取り扱い、国内外のお客様に価値を届けています。

JFEホールディングスの得意分野は、「高付加価値商品」、「クリーンエネルギー」、「グローバル展開」です。

高付加価値商品とは、高品質で高性能な鋼材や機械などのことで、JFEグループはこれらの商品を生み出すために最先端の技術力と研究開発力を持っています。

クリーンエネルギーとは、環境に優しいエネルギー源や技術のことで、JFEグループはこれらを活用して地球温暖化対策や資源循環型社会づくりに貢献しています。

グローバル展開とは、世界各地に拠点やパートナーを持ち、多様なニーズに応えることで競争力を高めることです。JFEグループはこれらの分野で優れた実績と信頼性を築いています。

強み・弱み

JFEホールディングスの強みとしては、以下が挙げられます。

  • 高品質な鋼材やエンジニアリングサービスを提供し、日本産業やインフラの発展に貢献していること。
  • ESG経営やデジタル技術の活用などで事業構造改革を進めており、社会的責任や競争力を高めていること。

JFEホールディングスの弱みとしては、以下が挙げられます。

  • 主原料や副原料などのコスト上昇により利益率が低下していること。
  • 高コスト体質が改善されていなく、収益性が低いこと。
  • 自動車や土木建築分野で鋼材出荷が停滞しており、需要回復が芳しくないこと。

目標とする経営指標

JFEグループは、2021年5月に公表した第7次中期経営計画(2021~2024年度)の中で、2024年度に以下の財務・収益目標を掲げています。

  • 事業利益:3,200億円
  • 当期利益:2,200億円
  • ROE:110%以上
バフェットコード

事業セグメント

JFEホールディングスの事業セグメントは、以下の通りです。

セグメント取扱商品またはサービスの内容
鉄鋼事業各種鉄鋼製品、鋼材加工製品、原材料等の製造・販売、ならびに運輸業および設備保全・工事等の周辺事業
エンジニアリング事業エネルギー、都市環境、鋼構造、産業機械等に関するエンジニアリング事業、リサイクル事業および電力小売事業
商社事業鉄鋼製品、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および販売

売上高、利益ともに主力事業である「製鉄事業」で構成されていますが、「商社事業」も売上高、利益ともに一定規模を有しています。

業績

JFEホールディングスの過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

EPSの推移と予想EPS

四季報データより作成

四半期EPS推移

四季報データより作成

2023年3月期3Qは、売上高は3兆9,085億円(前年同期比+26.2%増)、事業利益は2,310億円(前年同期比△28.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,439億円(前年同期比△35.5%減)となりました。

製鉄事業

鉄鋼事業においては、販売価格改善の取り組みや円安による為替影響等により、増収となっています。

セグメント利益については、販売価格の改善や継続的なコスト削減に取り組んだものの、原料価格高騰や為替影響に加え、棚卸資産評価差等の一過性の減益要因により、減益となっています。

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価格改善は達成されているものの、それ以上に主原料価格の高騰や主原料価格の下落による棚卸資産評価損があり、利益率は低下しています。
avatar
主原料価格はあがって下がっての行ってこい状態だったので、FY2022やFY2023上期まではよかったですが、そこで計上した利益を今度は損失として吐き出す形になってしまいました。

鋼材需給・粗鋼生産量

国内市場における活動停止や買い控え、海外市場における市況回復遅れから、鉄鋼需要は前回見通しを更に下回る見通しとなっています。

販売価格重視を堅持し、粗鋼生産量は前回見通しから減少(2,500万トン→2,400万トン)

販売価格

22年下期は鋼材需要の低迷を受けて、海外鋼材市況や主原料価格は下落しているものの、価格転嫁、価格水準是正により販売価格の更なる改善を推進

22年下期のスプレッド見通しは22年上期比+870億円(+8,100円/t)、前回公表比+280億円(+2,600円/t)の改善となっています。

商社事業

商社事業においては、前年同四半期連結累計期間に比べ、北米事業を中心に国内外の販売価格が上昇したことに
より、増収増益となっています。

中期経営計画

JFEスチールの中期経営計画の戦略は、2021年5月に発表された「豊かな地球の未来のために、創立以来最大の変革に挑戦」というテーマのもと、以下の3つの柱で構成されています。

  • 鉄鋼事業の競争力強化と収益力向上
  • 環境・社会貢献事業への積極的な取り組み
  • グローバル展開と新規事業創出

具体的な施策としては、設備投資や事業投融資を10,800億円、4年間で実施することや、温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で18%削減することなどが挙げられます。

鉄鋼事業については、2024年度に単独鋼材生産量を2,600万トン、セグメント利益で2,300億円計上する目標を立てています。

テクニカル分析

TradingView
TradingView

収益性が高くないため株価は長年低迷してきましたが、東証が2023年春にも低PBR銘柄に資本効率改善などの開示を求めることから物色されています。

株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。

株価からBPSを控除した金額の時間推移を利用した予測モデルをModel1、株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。

相関係数はModel1で74.8%、Model2で74.0%となっておりますので、株価とEPSにはかなり相関関係があるといえます。

相関係数の絶対値一般的な解釈
0~20%ほとんど相関関係がない
20~40%やや相関関係がある
40~70%かなり相関関係がある
70~100%強い相関関係がある

Model1

Model1で算出した価格は2023年3期で1,675円、2024年3月期で1,701円となっています。

Model2

予想EPSは2023年3月期が244.1円、2024年3月期が203.4円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ1,955円1,889円となっています。

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