
三菱地所株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。
記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。
三菱地所の企業概要
企業名 | 三菱地所株式会社 | 設立年月日 | 1937/5 |
時価総額 | 2兆7,780億円 | 業種別 時価総額順位 | 不動産業 2 / 142 社 |
上場年月 | 1953/5 | 上場市場 | 東証プライム |
従業員数 | 連 9982 名 単 953 名 | 外国法人持株比率 | 42.8% |
予想配当利回り | 1.90% | 監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 |
業務内容 | 三菱グループの総合不動産。東京・丸の内のビル賃貸を中核に商業施設運営やマンション開発も。23.3期は国内の新ビル貢献や海外のキャピタルゲイン増加を想定。商業施設・ホテルも見込み。最高業績・連続増配を計画。 記:2022/05/16 |
転載元:FISCO
日経平均株価(日経225)およびJPX日経インデックス400構成銘柄への選定
三菱地所は「日経平均株価(日経225)」および「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄に選定されています。

「日経平均株価(日経225)」は、日本経済新聞社が発表する株価指数のことで、東証1部上場銘柄のうち、代表的な225銘柄をもとに計算されています。日本の株式市場の大きな動きを把握する代表的な指標として用いられ、投資信託や先物取引などの商品にも利用されています。
東証1部の代表的な銘柄を選定して指標としているため、定期的に組み入れ銘柄の見直しが行われていますが、分母(除数)の修正などで株式分割や銘柄入れ替えなど市況変動以外の要因を除去して指数値の連続性を保っています。
「JPX 日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。
現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。
不動産業で JPX 日経インデックス400に採用されている会社は以下の通りです。

三菱地所の事業について
三菱地所は基本使命として「まちづくりを通じた社会への貢献」を掲げ、その事業領域は丸の内に代表されるオフィスや商業施設の開発・賃貸・運営管理、収益用不動産の開発、住宅の開発・分譲、更には設計監理や不動産仲介、海外事業など多岐にわたっています。

目標とする経営指標
2020年1月に策定した長期経営計画(2030)で挙げられている計数目標については以下の通りです。

事業セグメント
三菱地所の事業セグメントは以下の通りです。
セグメント | 取扱商品またはサービスの内容 |
---|---|
コマーシャル不動産事業 |
オフィスビルを中心に、商業施設・物流施設・ホテル・空港などのあらゆるアセットタイプの開発・賃貸・運営・管理などを行う。 三菱地所は、東京都内及び全国の主要都市において、オフィスを主とする単独又は共同事業としてビルを開発・建設し、直接賃貸するほか、他のビル所有者からビルを賃借し、これを転貸している。 また、竣工・稼働開始後に投資商品として不動産投資市場で売却することを基本的戦略とする収益用不動産の開発を行っている。 |
住宅事業 | マンション・戸建住宅等の建設・販売・賃貸等を行うほか、マンション・住宅の管理、注文住宅の設計・請負、不動産仲介、ニュータウンの開発、ゴルフ場の経営等の余暇事業を行う。 |
海外事業 | 海外において、主に不動産開発事業、不動産賃貸事業を行う。 |
投資マネジメント事業 | 不動産投資に関する総合的サービスの提供を行う。 |
設計監理・不動産サービス事業 | 建築・土木・インテリアの設計監理、内装工事等の請負、不動産仲介・管理・賃貸・不動産関係総合コンサルティング、駐車場事業を行う。 |


利益は主に「コマーシャル不動産事業」で計上されており、そのほか利益にとって重要なセグメントとしては「住宅事業」「海外事業」「投資マネジメント事業」があります。
三菱地所の業績
三菱地所の過去の業績は以下の通りです。

EPSの推移と予想EPS

四半期EPS推移

2022年3月期は、営業収益が1,349,489百万円で前年度に比べ141,894百万円の増収(+11.8%)、営業利益は278,977百万円で54,583百万円の増益(+24.3%)、経常利益は253,710百万円で42,744百万円の増益(+20.3%)となりました。
2023年3期、2024年3期ともに増収増益となることが予想されています。
セグメント別業績
コマーシャル不動産事業


オフィスビルは、新規ビル(常盤橋タワー(TOKYO TORCH 東京駅前常盤橋プロジェクトA棟)、みずほ丸の内タワー・銀行会館・丸の内テラス等)の稼働や既存ビルでの賃料増額改定等により、増収となっています。
その他、オフィスビル等の売却により、不動産販売が大幅な増収となっています。
2023年3期の見通し
常盤橋タワーの通期稼働により新規ビルの賃貸利益が増加する一方、再開発を予定するビルの閉館に向けた賃料収入の減少や、原状回復費相当額収入の減少等により、既存ビルの賃貸利益が減少する見込み。
なお、アウトレットモール等の商業施設、及びホテルについては、各種制限の緩和による国内需要の回復を中心に収益が改善する見込み。
住宅事業


国内マンション事業は、売上計上戸数が減少したものの、一戸当たりの販売単価が増加した
こと等により、増収となっています。
注文住宅事業は、売上棟数及び平均単価が増加したこと等により、増収となっています。
2023年3期の見通し
国内分譲マンション事業の分譲戸数減による収益・利益の減少が見込まれるものの、賃貸マンション等のキャピタルゲインが大幅増加となる見込み。
海外事業


英国はファンドの持分売却により減収となったものの、米国はオフィスビルの稼働率上昇及び物件の売却収入の増加等により増収となり、アジアは貸付面積並びに分譲マンション事業による売上計上戸数が減少したものの、オフィスビルの売却等により増収となっています。
2023年3期の見通し
ロンドンのセントラルセントジャイルスや米国物流施設等の売却によるキャピタルゲインの大幅増加等により増益の見込み。
投資マネジメント事業

米国で三菱地所グループがアセットマネジメントを行うファンドが保有する資産の時価評価額
の増加に伴う一過性のフィーが増加したこと等により、増収となっています。
2023年3期の見通し
前期の成功報酬の反動により減収・減益となるものの、順調なAUM拡大に伴い、成功報酬以外の利益は増加となる見込み。
2030年に向けた事業の方向性
最後に2030年に向けた事業の方向性について載せておきます。
2030年に向けた基本方針を“高効率”で“市況変化に強い”事業ポートフォリオへの変革としています。
KPIとしては以下の項目が掲げられています。
- ROA:5%
- ROE:10%
- EPS:200円
テクニカル分析

2013年から10年続いた下落相場が2022年に入って終わろうとしており、ここから上昇していこうとしています。
これからインフレが続くとなると不動産業に投資冥利があります。
またEPSが2016年から増え続けているにもかかわらず不動産業の株価はレンジ相場、もしくは下落相場となっていたので、インフレを機に高くジャンプする土壌は揃っているのではないかと考えています。
株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。
BPSを加味した株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel1、単純に株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。
上グラフを見ていただくと分かるのですが、EPSは右肩上がりに上昇しているにも関わらず株価は右肩上がりとなっています。

そのためEPSと株価の相関関係は有意性がないともいえるのですが、あくまで参考として有意性を持たせられるように2014/3期~2017/3期は外れ値として除外しています。
その結果、相関係数はModel1で15.2%、Model2で75.9%となっております。
Model1
予想EPSは2023/3期が118.6円、2024/3期が122.2円となっており、Model1で算出した価格はそれぞれ2,174.4円、2,280.6円となっております。

Model2
予想EPSは2023/3期が118.6円、2024/3期が122.2円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ2,005.6円、2,033.6円となっております。

ここ10年間はEPSが順調に上昇しているにもかかわらず株価は上昇してこなかったので、下落トレンドが終わった場合にはここで算出した株価予想は参考値にしかならず、もっと大きく上昇していくものと考えています。
