株式会社SUMCOについて有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。
SUMCOの2021年12月期決算短信は2022/2/9公表予定です。
Contents
SUMCOの企業概要
企業名 | 株式会社SUMCO | 設立年月日 | 1999/7 |
時価総額 | 755,327 百万円 | 業種別 時価総額順位 | 金属製品 2 / 94 社 |
上場年月 | 2005/11 | 上場市場 | 東証1部 |
従業員数 | 連 8199 名 単 4011 名 | 外国法人持株比率 | 41.8% |
決算月 | 12月 | 監査法人 | 有限責任監査法人トーマツ |
業務内容 | 世界トップ級の半導体向けシリコンウェーハメーカー。半導体シリコンウェーハの世界シェアは約25%。エピタキシャルウェーハの生産技術に定評。増産に向け長崎と佐賀で設備投資を決定。業容好調で3Q累計は増収増益。 記:2021/11/25 |
転載元:FISCO
競合他社について
シリコンウエハーの先端品に限れば、信越化学工業とSUMCOの日本勢2社が世界市場を二分している。
ウエハーメーカーは安定供給を望む顧客との間で数量・価格を一定期間固定とする「長期契約」を増やしてきたため、昨今の半導体需給ひっ迫による価格上昇の温計は22年から本格化する。
日経平均株価(日経225)およびJPX日経インデックス400構成銘柄への選定
SUMCOは「日経平均株価(日経225)」および「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄に選定されています。
「日経平均株価(日経225)」は、日本経済新聞社が発表する株価指数のことで、東証1部上場銘柄のうち、代表的な225銘柄をもとに計算されています。日本の株式市場の大きな動きを把握する代表的な指標として用いられ、投資信託や先物取引などの商品にも利用されています。
東証1部の代表的な銘柄を選定して指標としているため、定期的に組み入れ銘柄の見直しが行われていますが、分母(除数)の修正などで株式分割や銘柄入れ替えなど市況変動以外の要因を除去して指数値の連続性を保っています。
「JPX 日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。
現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。
金属製品で JPX 日経インデックス400に採用されている会社は以下の通りです。
SUMCOの事業について
SUMCOは「お客様と株主の期待に応え、従業員に幸せを与え、社会に貢献する、常に世界一のシリコンウェーハメーカーを目指す」という経営理念のもと、半導体デバイスに使用される高品質のシリコンウェーハ製造において、大口径から小口径までカバーする幅広い製品展開力と技術力を有し、これらを最大限に活用し安定的な供給体制を構築することにより、社会の発展に貢献することを経営の基本方針としています。
事業セグメント
SUMCOの事業セグメントは、半導体メーカー向けシリコンウェーハの製造及び販売を主体とした「高純度シリコン事業」のみの単一セグメンになります。(有価証券報告書2020年12月期の【事業の内容】P6より)
セグメント | 取扱商品またはサービスの内容 |
---|---|
高純度シリコン事業 |
SUMCOが製造及び販売を行う半導体用シリコンウェーハは、半導体メーカーがメモリーやMPU(超小型演算処理装置)等の各種半導体を製造する上で基板材料として用いられるもの。 半導体シリコンウエハーの世界市場では、最大手の信越化学工業とSUMCOの2社が約6割のシェアを持つ。スマートフォンやデータセンター、自動運転車向けに半導体の需要は増えており、ウエハー各社の工場もフル生産が続いている。 半導体の製造工程においては、シリコンウェーハの口径が大きいほど一枚当たりのシリコンウェーハから切り出される半導体の個数が多くなるため生産性が向上し、さらに、半導体を切り出す際に周縁部で無駄となる部分の割合が減ることで歩留りが向上するため、半導体メーカーにおけるコスト削減の要請に応え、シリコンウェーハの口径は100mmから、125mm、150mm、200mm、300mmと世代毎にその口径が大きくなっている。 このような背景のもと、SUMCOは、国内外の製造拠点において、各口径のポリッシュトウェーハや、その表面にさらに特殊加工を施したエピタキシャルウェーハ等の製造を行う。
300mmウェーハについては、佐賀県伊万里市、佐賀県杵島郡江北町、山形県米沢市、長崎県大村市(SUMCO TECHXIV株式会社)、台湾(FORMOSA SUMCO TECHNOLOGY CORPORATION)に製造拠点を置く。 |
半導体用シリコンウェーハの製造工程は、大きく「単結晶引上工程」と「ウェーハ加工工程」に区分されます。
単結晶引上工程においては、結晶炉内に設置した高純度石英ルツボ(シリコン単結晶を製造する際に使用される容器には、加熱溶融した原材料にシリコン以外の不純物が混入しないことが求められることから、高純度石英ルツボが使用)の中で加熱溶融した多結晶シリコンを、時間をかけて単結晶を成長させながら引き上げることにより、単結晶シリコンのインゴット(塊)を製造いたします。
次に、ウェーハ加工工程において、単結晶引上工程にて製造された単結晶シリコンインゴットを厚さ1mm以下にスライスし、研削、研磨、洗浄等の工程を経てシリコンウェーハ(ポリッシュトウェーハ)に仕上げます。
さらにポリッシュトウェーハの表面に特殊加工を施したエピタキシャルウェーハなどの製品も製造しております。
引用元:有価証券報告書
SUMCOの業績
SUMCOの過去の業績は以下の通りです。
2020年12月期における半導体用シリコンウェーハ市場は、米中貿易摩擦やコロナ禍による世界経済の減速にも拘わらず成長しました。
300mmウェーハはテレワーク・5Gの浸透による通信容量の増大により強い需要となりました。ロジック向けはPC・スマートフォン・データセンター向けの需要拡大に牽引され、需給のタイト感が継続し、メモリー向けも回復傾向となりました。
200mm以下の小口径ウェーハは、コロナ禍の影響により車載・民生向け需要が低迷していましたが、年末から急回復しました。
地域別の売上高
単位:百万円 | 2019年度 | 2020年度 | 増減 |
---|---|---|---|
日本 | 69,079 | 67,739 | △1,340 |
北米 | 35,640 | 30,048 | △5,592 |
アジア | 170,761 | 173,697 | +2,936 |
欧州他 | 23,978 | 19,848 | △4,130 |
合計 | 299,460 | 291,333 | △8,127 |
取引先の多くは世界のウエハー40%を消費する中国にあることがわかります。
中国リスクについて
SUMCOが提供する半導体ウエハーは米中貿易摩擦など地政学的なリスクを大きく受けます。
米中の対立がさらに激しくなれば、ウエハー消費量の多い中国に先端品を輸出できなくなる可能性がある。
中国の半導体事情については以下の記事で解説しています。
⇒半導体業界の動向や現状
2024年稼働の台湾工場では最新300mmウエハー製造する予定で、稼働後はTSMCからの需要にこたえられるようにしていく構えです。
佐賀工場と合わせて、2023年度後半からSUMCOの生産能力は急増していくことになります。
投資計画
半導体の需給は半導体の需給は周期的に動いているわけではなく、市場が年々拡大していることには変わりはありません。
SUMCOの製品は全て値上げを受け入れてくれた顧客によって、26年まで生産する前から売れている状況。今後も市場の伸びにあわせて逐次増産していくとのこと。
台湾で300mmウェハの増産を計画
SUMCOと台湾プラスティックグループ(台塑集団:Formosa Plastics Group)の合弁会社であるフォーモーサ・サムコ・テクノロジー(台塑勝高科技:Formosa SUMCO Technology)が、282億6000万NTドル(約1,150億円)を投じて台湾に最先端の300mmウェハ製造工場を新設する投資計画を台湾証券取引所で開示した。
世界最大の半導体受託生産会社、台湾積体電路製造(TSMC)などからの供給拡大の求めに応える。
TSMCは2022年より新ファブにて3nmプロセス(N3)を用いた量産を開始する計画であるほか、新竹に2nmファブ、高雄に7/6nmと28nmファブの建設も計画している。加えて複数の台湾中堅半導体メーカーも工場の建設を進めている段階であり、台湾でのウェハ需要が今後大きく伸びることが予想される。
新工場は2024年に稼働を開始する予定。
佐賀工場新設、長崎工場増築
SUMCOは9月に伊万里(佐賀県)に新工場を建設するとともに大村(長崎県)の子会社の製造棟を増築するなど総額2,287億円をかけて300mmウェハを増産すると発表。
佐賀県では23年後半から段階的に操業を始め、25年2Qのフル稼働を計画する。長崎県では23年末にフル稼働を予定。
SUMCOは300ミリメートルウエハーの世界需要について2021年に月750万枚、26年には月1000万枚に拡大すると推定している。
テクニカル分析
半導体関連素材メーカーとして半導体業界全体の上昇トレンドに乗って2020年後半から急上昇しました。
この業界は好況を3-5年単位で繰り返す「シリコンサイクル」があり、収益がピークになる手前の2018年3月ごろに株価は高値を付け、前回最も収益が良かった2018年度が終わることには株価は大幅に下落しています。
今回のシリコンサイクルがどこまで続くのかわかりませんが、株価は既にピークをつけているように見えます。
ミネルヴィニ投資におけるステージ
ミネルヴィニの成長株投資については、以下の記事をご参照ください。
⇒ミネルヴィニ成長株投資法
直近では高値・安値ともに切り下げを行い、またボラティリティが大きく出来高も大きいことからステージ3に入っているの認識です。
出来高を伴い大きく下落すればステージ4に入るため、今の状況ではエントリーするのは控えた方がよさそうです。