ピックアップ企業
【企業別分析】信越化学工業(4063)

信越化学工業株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

(2022/1/31更新)
2022/1/27公表の2022年3月期 第3四半期決算を取り込み、更新しております。

信越化学工業の企業概要

企業名 信越化学工業株式会社 設立年月日 1926/9
時価総額 7,556,184 百万円 業種別 時価総額順位 化学 1 / 219 社
上場年月 1949/5 上場市場 東証1部
従業員数 連 24069 名 単 3238 名 外国法人持株比率 39.7%
決算月 3月 監査法人 EY新日本有限責任監査法人
業務内容  塩ビ、半導体シリコンウエハで世界首位。シリコーン製品や希土類磁石なども。22.3期上期は塩ビと半導体関連の快走続く。磁石も好調で大幅増収増益に。通期最高業績・増配を計画。米国の塩ビ増強設備は11月稼働へ。 記:2021/11/17

  転載元:FISCO

同業他社の時価総額および強み

シリコンウエハーの先端品に限れば、信越化学工業とSUMCOの日本勢2社が世界市場を二分している。

ウエハーメーカーは安定供給を望む顧客との間で数量・価格を一定期間固定とする「長期契約」を増やしてきたため、昨今の半導体需給ひっ迫による価格上昇の恩恵は22年から本格化する。

フォトレジスト(感光材)はEUVに関しては日本のJSR、東京応化工業、信越化学工業の3社寡占状態。

日経平均株価(日経225)およびJPX日経インデックス400構成銘柄への選定

信越化学工業は「日経平均株価(日経225)」および「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄に選定されています。

日経平均株価(日経225)」は、日本経済新聞社が発表する株価指数のことで、東証1部上場銘柄のうち、代表的な225銘柄をもとに計算されています。日本の株式市場の大きな動きを把握する代表的な指標として用いられ、投資信託や先物取引などの商品にも利用されています。

東証1部の代表的な銘柄を選定して指標としているため、定期的に組み入れ銘柄の見直しが行われていますが、分母(除数)の修正などで株式分割や銘柄入れ替えなど市況変動以外の要因を除去して指数値の連続性を保っています。

JPX 日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。

現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。

化学で JPX 日経インデックス400に採用されている会社は以下の通りです。

信越化学工業の事業について

信越化学工業は多面的に世界一を目指し、高収益を実現することを経営目標に掲げています。

そのために販売先行と素早い投資でお客さまとともに成長を目指す「強い営業」、お客さまと社会のニーズに真摯に耳を傾けて新製品や新サービスを創造する「強い研究開発」、そして安全を最優先に品質の高い製品を安定的に送り出す「強い製造」が一体となって成長の基盤を強化し、企業価値の最大化に取り組んでいます。

事業セグメント

信越化学工業の事業セグメントは以下の通りです。 (有価証券報告書2021年3月期の【事業の内容】P5、【事業の状況】P12、非財務・財務ハイライトより)

セグメント 取扱商品またはサービスの内容
塩ビ・化成品事業

塩化ビニル(世界シェア1位)、苛性ソーダ等の製造・販売

米国のシンテック社で、塩化ビニル樹脂の新工場を予定通り立ち上げ、需要の伸びに応えます。第2期の工事を着実に遂行し、その一方で後続の計画を検討。

シリコーン事業

シリコーン(世界シェア4位、国内シェア1位)の製造・販売

最終製品の生産能力増強を進め、全世界の顧客への供給体制と品揃えの拡充に取り組んでいます。顧客の課題解決に貢献する製品と用途の開発をより一層推し進めます。

機能性化学品事業

セルロース誘導体(メチルセルロース 世界シェア2位)、金属珪素等の製造・販売

セルロース事業で、日米欧の3拠点から多様な製品群の安定供給を図ります。これまで注力してきました製剤用や産業用に加え、食品用でも需要の広がりに応えていきます。

フェロモン製品(合成フェロモン 世界シェア1位)も適用品種を増やして、農産物収穫向上や森林保護に貢献していきます。ポバール他の新規用途においても拡販を推進します。

半導体シリコン事業

半導体シリコン(シリコンウエハー 世界シェア1位)の製造・販売

半導体の基板となる素材の「シリコンウエハー」で世界トップシェアを誇ります。また、半導体パッケージを構成する材料のひとつである「半導体封止材」や、5Gやミリ波レーダー、大容量高速基盤の実現に不可欠な「低誘電材料」なども手掛けています。

半導体デバイス市場の短期的な変動はあるものの、長期に亘る成長は確実ゆえ、微細化やその他の要件を支える高品質なシリコンウエハーの安定供給継続のため、適切な手立てを施してまいります。今後とも投資効率を踏まえて顧客需要に応えていきます。

電子・機能材料事業

希土類磁石、合成石英製品(世界シェア1位)、フォトレジスト(世界シェア2位)及びマスクブランクス(世界シェア2位)等の製造・販売

希土類磁石事業で、日本とベトナムの2拠点での原料の精製から最終製品までの一貫生産体制を活かし、原料対策を入念に施すとともに、欧米で開始された供給に係る安全保障検討に対応していきます。

半導体デバイスパッケージ材料、新種の基板材料や5G対応材料の上市を推し進めます。光ファイバー用プリフォームは、主要国で始まるインフラ投資に由来する需要を取り込みます。

合成石英基板では、高品質とサイズ対応の迅速さで需要に応えていきます。

フォトレジストでは、引き続き先端品の開発と安定供給を中心に据え、マスクブランクスの先端品でも基板からの一貫生産体制で需要に応えていきます。

加工・商事・技術サービス事業

信越ポリマーグループの事業および建設・修繕をはじめとする各種役務提供を行う

信越化学工業の業績

信越化学工業の過去の業績は以下の通りです。

SBI証券
SBI証券

信越化学工業は毎年増収増益を続けていますが、今年は特にその金額が急増しています。

1月27日に2022年3月期3Q短信が発表されましたが、それと同時に業績予想の上方修正も同時に発表されています。

2022年3月期の連結純利益は前期比70%増加の5,000億円とし、これは過去最高の3,630億円としていた従来予想を1,370億円上回ります。

業績予想の上方修正は主に米国での旺盛な塩化ビニール樹脂の販売が伸び、値上げ効果で全体を引き上げていることによるものです。

SBI証券

2022年3月期の予想営業利益率は33%超、ROEは15%を超とすさまじい利益率を計上する見込みです。

営業利益率の高さは信越化学工業の製品を使わざるを得ない品質の高さの表れといえるでしょう。

そしてROEとROAの数字が近いことから、財務基盤は安全であることもわかります。

セグメント別情報

塩ビ・化成品事業

2021年3月期は米国の主力子会社シンテック社において、フル操業を継続し、塩化ビニル、苛性ソーダともに高水準の出荷を維持。同社は4~5月の経済活動制限による市況下落の影響を受けたが、その後世界的に需給が引き締まり値上げを実施。

2022年も米国では住宅市場の拡大が続き、床材メーカー各社とも増産しており、関連して塩化ビニール樹脂の需要も底堅く推移することが見込まれていましたが、2022年3月期の決算はその見込み通りの結果になりそうです。

シンテックは21年に9回の値上げを実施し、年間の値上げ幅は約3割と歴史的な水準となったことが営業利益急伸の要因です。

そのほか、塩ビ樹脂は断熱性も高く、窓枠などでの利用も増えることが見込まれます。日本の住宅についてもアルミサッシが標準ですが、脱炭素化の流れで断熱性能の高い樹脂サッシが業界標準になれば売り上げは大きく伸びることが期待できます。

21年11月には米ルイジアナ州で稼働した新工場が通年寄与するので、今後も住宅市場が拡大し塩ビの好調が続くかに注目。

塩化ビニルは値上がり

建設資材などに幅広く使う塩化ビニール樹脂が、国内で41年半ぶりに最高値を更新した。原材料の値上がりが急ピッチで進み、樹脂メーカーは大幅な転嫁値上げに迫られた。

塩ビ樹脂の内需は底堅い。塩ビ工業・環境協会(東京・中央)によると、21年の国内出荷は99万6364トンと20年に比べて5.7%増えた。新設住宅着工件数の伸びなどで昨年3月以降は前年をおおむね上回った。

21年11月、米ルイジアナ州で待望の塩化ビニール樹脂の新工場が稼働した。新型コロナウイルス禍で約10カ月遅れたものの、北米の塩ビ樹脂の年産能力は324万トンと1割増え、世界首位の座を固める。建物の窓枠や水道管などに使う塩ビ需要は各地で増える見通しで、1月には23年の完成にむけ1300億円を投じる追加増強も決めた。

半導体シリコン事業

半導体ウエハーも、高速通信規格「5G」やデータセンター向けなどに使う半導体需要が増え好調を維持しています。

シリコーン事業

汎用製品の価格下落に加え、化粧品や車載向けの需要鈍化の影響を受けましたが顧客需要が復調し始めています。

21年10~12月期に原料高が重荷となりましたが、値上げに動いており通期ではマイナス影響を週できる見込み。

シリコーンの価格交渉について

シリコーンは塩ビやウエハーと違い、顧客と用途に合わせた素材を共同開発する「多品種少量生産」が多い。顧客は簡単に他社製品に切り替えられず、価格交渉しやすい。

EV電池素材に800億円投資

信越化学工業は2025年までに800億円を投じて、EV電池向けシリコーンを最大2倍に増産すると発表しました。(引用:日経新聞

自動車の電動化に伴いエンジンに使う触媒などの需要が減る一方で、EVの電池やモーター向けの新たな素材への投資が激化している背景があり、日本は欧米勢にやや遅れ気味。

国内で1位のシェアだが、世界では4位で首位の米ダウに大きく差をつけられており、積極的な投資で供給力を高める狙い。

電子・機能材料事業

希土類磁石は、1Q当初経済活動制限により一時海外工場の稼働が影響を受けるが、下期は車載向けが強い回復を示し、ハードディスクドライブ向けも好調に推移。

フォトレジスト製品は、ArFレジストやEUVレジストを中心に好調を持続。

マスクブランクスも先端、汎用用途ともに堅調に推移。

光ファイバー用プリフォームは市況悪化の影響を受け厳しい状況が続く。

大型パネル用フォトマスク基板は需要鈍化の影響を受ける。

足元では電気自動車(EV)に使う高性能磁石や半導体回路の原版となるマスクブランクスなどに力を入れる。こうした事業を伸ばし、安定した収益基盤を手に入れれば、成長投資の資金もより確保しやすくなる。

機能性化学品事業

セルロース誘導体は、医薬用製品はそこ底固く推移しましたが、建材用製品が振るわず。

フェロモン製品やポバール製品は出荷が低調に推移。

加工・商事・技術サービス事業

信越ポリマー社の半導体ウエハー容器の出荷は堅調だったが、自動車用入力デバイスが自動車市況の悪化の影響を受ける。

投資計画

シンテック社

信越化学工業の主力子会社であるシンテック社は2021年に世界最大の塩ビメーカーとして現在の信越化学工業の収益を支えています。

2020年には塩ビの主原料の一つであるエチレンの生産を開始し、これまで外部調達していたエチレンの約半数が自社内生産になっており、今後も需要の伸びが期待される塩ビの安定生産に貢献しています。

シリコンウエハー

一部拠点でシリコンウエハーのグリーンフィールド投資の方針。ただ、稼働するのは24年度で、まだ計画の発表はない。(一方のSUMCOは発表済み)

これまで既存工場の空きスペースに製造設備を追加して能力を高める「ブラウンフィールド投資」が主体だったが、半導体産業の長期的な成長が見込まれるなか、工場建屋から建設する「グリーンフィールド投資」が今後増えてくる見通し。

テクニカル分析

SBI証券

2019年から上昇トレンドとなっていましたが、コロナショックで一時的に下落しました。

その後順調に上昇トレンドを形成しており、2021年からベースを形成しています。

SBI証券

ミネルヴィニ投資におけるステージ

ミネルヴィニの成長株投資については、以下の記事をご参照ください。
ミネルヴィニ成長株投資法

2021年からベースに入っていますが、2021年8月あたりからボラティリティが大きくなってきているのでステージ3に入っている認識です。

18,000円ラインでサポートを受ければいいですが、出来高を伴って大きく下落する場合には下落トレンドであるステージ4に入るため深追いしないようにしましょう。

参考図書