業界分析
鹿島建設(1812)徹底分析:受注残1.75兆円と利益率急改善が示す「稼ぐ力」の変貌

鹿島建設は、受注残高×工事利益率で国内建設利益が決まり、海外不動産の売却タイミングが利益変動を左右する総合建設大手

この記事でわかること

  • 鹿島の売上・利益が「何によって動くのか」――受注残高・工事利益率・海外開発売却の3変数を因果構造で解説
  • FY2026 Q3累計で営業利益+81.5%の急拡大を生んだメカニズムと、今後の持続性を左右する先行指標
  • ベース・上振れ・下振れ3シナリオの業績見通しと、次回決算で投資家が確認すべき指標

企業概要

鹿島建設(証券コード:1812)は1840年創業の総合建設大手であり、大林組・清水建設・大成建設・竹中工務店と並ぶ「スーパーゼネコン5社」の一角です。連結売上高は2兆9,118億円(FY2025=2025年3月期実績)、連結従業員25,339人、連結子会社323社を擁します。土木・建築の受注生産型事業を主軸としつつ、国内外で不動産開発・売却事業を展開する複合型のビジネスモデルが特徴です。

ビジネスモデル

鹿島のビジネスモデルは大きく2つの類型に分かれます。

①受注生産型(建設事業・連結売上の約85%):顧客から工事を受注し、1~3年かけて施工・引き渡す受注生産型です。売上は「受注残高×当期工事進捗率」、利益は「売上×売上総利益率」で決まります。受注から売上計上まで1~3年のタイムラグがあるため、受注残高が将来売上のほぼ確定した先行指標となります。

②不動産開発売却型(開発事業・連結売上の約15%):自社で開発した物件を投資家やREITに売却するモデルです。利益は「売却価格-開発原価」で決まり、キャップレート(Cap Rate)や金利水準に連動します。売却の有無で利益計上タイミングが大きく変動する点が、建設事業との最大の違いです。

収益構造

セグメント別売上構成と主要顧客

セグメント FY2025売上高 営業利益 利益率 主要顧客
土木事業(単体) 4,041億円 357億円 8.8% 国・地方自治体、洋上風力事業者、鉄道事業者
建築事業(単体) 1兆535億円 512億円 4.9% 三井住友銀行(再開発)、マツダ(工場)、リゾートトラスト(宿泊施設)、半導体メーカー、データセンター運営者
開発事業(単体) 1,024億円 278億円 27.2% 不動産投資家・REIT等(具体名非開示)
国内関係会社 3,546億円 164億円 4.6% 土木・建築各事業の顧客に準じる(詳細非開示)
海外関係会社 1兆1,145億円 201億円 1.8% 米国:物流倉庫テナント企業(Core5経由)等、アジア:Singapore Sports Council等
連結合計 2兆9,118億円 1,519億円 5.2%

※海外関係会社の地域別内訳:北米6,868億円、アジア2,143億円、大洋州1,450億円、欧州667億円(FY2025実績)。

売上の数式的分解

事業区分 売上の算式 主要変数 現在の水準(FY2025末)
建設事業 受注残高 × 当期工事進捗率 受注残高、進捗率 単体受注残 1兆7,503億円(前年比+19.2%)
建設利益 建設売上高 × 売上総利益率 資材費、労務費、追加工事、受注時採算 土木粗利率24.6%、建築粗利率11.8%(FY2026 Q3累計)
開発事業 売却物件数 × 1件当たり売却価格 Cap Rate(≒金利逆相関)、リーシング進捗率 FY2026 Q4以降に複数物件の売却契約済み

利益構造ツリー(FY2025実績ベース・営業利益)

利益構成要素 営業利益 構成比
建築事業(単体) 512億円 33.7%
土木事業(単体) 357億円 23.5%
開発事業(単体) 278億円 18.3%
国内関係会社 164億円 10.8%
海外関係会社 201億円 13.2%
調整等 7億円 0.5%
連結営業利益 1,519億円 100%

過年度業績推移

項目 FY2021 FY2022 FY2023 FY2024 FY2025 FY2026 Q3累計 FY2026通期予想
建設受注高(連結) 1兆7,201億円 1兆9,299億円 2兆1,969億円 2兆9,272億円 2兆6,246億円 2兆1,812億円 3兆1,000億円
売上高 1兆9,072億円 2兆797億円 2兆3,916億円 2兆6,652億円 2兆9,118億円 2兆1,460億円 3兆300億円
営業利益 1,273億円 1,234億円 1,235億円 1,362億円 1,519億円 1,718億円 2,280億円
当期純利益 985億円 1,039億円 1,118億円 1,150億円 1,258億円 1,222億円 1,700億円
営業利益率 6.7% 5.9% 5.2% 5.1% 5.2% 8.0% 7.5%
受注残(単体建設) 1兆2,573億円 1兆1,981億円 1兆2,148億円 1兆4,691億円 1兆7,503億円

FY2022〜FY2023は受注高が急増したにもかかわらず営業利益が横ばい(1,234→1,235億円)でした。資材価格高騰・労務費上昇が利益率を圧迫していたと見られます。特殊要因含む可能性あり、有価証券報告書で要確認。FY2026 Q3累計の営業利益は前年同期比+81.5%の1,718億円と急拡大しており、土木・建築双方の粗利率改善が主因です。

売上のドライバー分析

ドライバー①:国内建築事業(最大セグメント・売上の約36%)

建築事業は鹿島最大のセグメントであり、FY2025単体売上高は1兆535億円です。「誰が何を建てるか」が需要を決定します。

因果構造(3段階)

【第1段階:最上流の需要創出】半導体・AI関連投資の急拡大、EC物流施設の建設需要、都市再開発ニーズが最上流の需要を生み出しています。具体的には、TSMCや大手半導体メーカーの国内工場建設、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)によるデータセンター建設がこれに該当します。日本のデータセンター建設市場は2035年までにCAGR 6.7%で拡大し、約146億米ドル(約2.3兆円)に達する見込みです。→【第2段階:先行指標の動き】こうした需要が鹿島の単体建設受注高(FY2025実績:1兆8,311億円、うち建築1兆3,347億円)と受注残高(FY2025末:1兆7,503億円、前年比+19.2%)として蓄積されます。受注から売上計上まで1~3年のタイムラグがあるため、現在の高水準の受注残は今後2~3年の売上をほぼ確約する先行指標です。→【第3段階:売上・利益への転嫁】受注残の施工進捗に応じて売上が計上されます。FY2026 Q3累計の建築粗利率は11.8%(前年同期9.4%から+2.4ポイント改善)です。採算改善工事が受注残の大半を占め始めたことが主因です。

定量インパクトの推定:建築事業の粗利率が1ポイント改善すると、売上高1兆535億円ベースで約105億円の粗利増加に相当します(単純試算。売上水準を一定と仮定した参考値)。

ドライバー②:土木事業(利益率の急改善が最大の注目点)

土木事業は売上規模こそ建築の約4割ですが、FY2026 Q3累計の粗利率が24.6%(前年同期14.4%)と10.2ポイントも改善しており、利益貢献度が急上昇しています。

因果構造(3段階)

【第1段階】政府の防災・インフラ老朽化対策予算の拡大(建設投資予測26年度:81兆円の大台予想)や、洋上風力(Offshore Green Energy)等の再エネ関連投資が土木需要を創出しています。発注者は主に国・地方自治体、電力事業者、鉄道事業者です。→【第2段階】鹿島の単体土木受注高はFY2025実績4,389億円、FY2026通期予想は当初4,200億円から5,200億円へ上方修正されています。さらに、施工中の大型工事において追加・設計変更案件が多数発生しており、高利益率の利益が積み上がっています。→【第3段階】FY2026 Q3累計の土木粗利率24.6%は、追加工事の利益確定と資材高騰前の低採算工事の消化完了が重なった結果です。FY2026通期予想でも粗利率23.3%と高水準を維持する見込みです。

定量インパクトの推定:土木事業の粗利率が1ポイント改善すると、売上高4,041億円ベースで約40億円の粗利増加に相当します(単純試算)。Q3累計の10.2ポイント改善は約400億円規模の粗利押し上げ効果があったと推定されます。

ドライバー③:海外開発事業(米国流通倉庫・利益のタイミング変動要因)

海外関係会社の売上は1兆1,145億円と連結売上の約38%を占めますが、営業利益率はわずか1.8%です。利益面で注目すべきは米国での物流倉庫開発・売却事業です。

因果構造(3段階)

【第1段階】米国のEC・物流産業拡大が倉庫需要を生み出しています。主要テナントはAmazon等の大手EC事業者や3PL(サードパーティ・ロジスティクス)企業と見られます【筆者推定・会社非開示】。→【第2段階】FRBの政策金利動向がCap Rateを通じて売却価格と取引量を左右します。FRBは2025年12月に3会合連続の0.25%利下げを実施し、FF金利は3.50~3.75%に低下しました。その後は2会合連続で据え置きとなっており、2026年の利下げ回数はFOMC内でも意見が割れています。→【第3段階】金利高止まりによりCap Rateが上昇し、一部物件の売却がFY2027以降に延期されました。この結果、海外関係会社の通期純利益予想は当初150億円から100億円へ下方修正されています。逆に、FRBの利下げ再開はCap Rate低下を通じて売却価格上昇・取引活性化をもたらすため、強力な利益回復トリガーとなりえます。

定量インパクトの推定:海外開発物件の大型案件1件の売却利益は数十億~100億円規模と推定されます(FY2025のKUSA営業利益199億円から複数案件で構成と仮定した参考値)【筆者推定・会社非開示】。売却が1件前倒しになるか延期になるかで、四半期利益が大幅に変動する構造です。

ドライバー④:受注残高の利益率改善(クロスセグメント)

鹿島の利益を理解する上で最も重要なのは、「売上の増減」よりも「手持工事の利益率変化」です。FY2022~FY2023に資材高騰で受注した低採算工事が順次消化され、代わりに採算を選別して受注した高利益率工事が受注残の大半を占め始めています。FY2026 Q3累計の連結建設粗利率は14.7%(前回予想13.5%からさらに改善)であり、これがFY2026 Q3の営業利益+81.5%の最大の要因です。

受注残1兆7,503億円(FY2025末)は今後2~3年の利益水準を方向づける先行指標です。この受注残に含まれる工事の採算水準が高い限り、売上計上に応じて利益率は高水準で推移することが見込まれます。

先行指標

指標名 現在の数値・水準 直近の変化 企業への影響 重要度
単体建設受注残高 1兆7,503億円(FY2025末) 前年比+19.2%、過去最高水準 今後1~2年の売上をほぼ確約する最重要先行指標。高水準維持は増収を示唆
手持工事の売上総利益率 土木24.6%、建築11.8%(FY2026 Q3累計) 前年同期比で土木+10.2pt、建築+2.4pt改善 受注残の利益率上昇が施工進捗とともに増益を確実化
連結建設受注高 FY2026通期予想3兆1,000億円(前回2兆5,800億円から上方修正) +5,200億円の大幅上方修正、過去最高水準 翌期以降の売上・受注残拡大を示す
米国政策金利(FF金利) 3.50~3.75%(2025年12月FOMC後) 3会合連続利下げ後、2会合連続で据え置き。2026年の利下げ回数は不透明 Cap Rateを通じて米国開発物件の売却価格・取引量に直結
建設資材物価指数 全国・建設総合は14カ月連続上昇(2026年1月分時点) 銅相場続伸等が押し上げ要因。鉄鋼は東京製鉄が約4年ぶり全品種値上げ 手持工事の利益率を下押しするリスク要因
建設技能者数 2024年:303万人、2035年推計:264万人 2045年には半減予測。育成就労制度で建設は計20万人弱を受入見通し 労働需給逼迫が外注費上昇を通じて利益率を下押し
民間設備投資動向(機械受注) 2025年12月の船舶・電力除く民需:1兆525億円(前月比+19.1%) 2カ月ぶりプラス、通年は19年ぶり高水準 建築事業の需要を決定するメインドライバー
ドル円為替レート 150円台半ば~155円台で推移(2026年初頭) 日銀利上げと米利下げ停止で方向感が交錯 海外売上(約1.1兆円)の円換算額に影響。1ドル=10円の円高で約700億円規模の売上減少(単純試算。海外売上1兆1,145億円を対象とした参考値)

※為替レートは現時点で鹿島の利益に対する感応度が相対的に小さいため低重要度としていますが、海外事業の利益率が今後改善した場合、為替変動の影響度が上昇する可能性があります。

先行指標を左右する要因

受注残高・受注高の増減要因

増加要因 減少要因
半導体工場・データセンター建設需要の急増(TSMC、ハイパースケーラー等) 金利上昇による民間設備投資の抑制
政府の防災・インフラ老朽化対策予算の拡大 競合他社(大林組・清水建設・竹中工務店等)との価格競争激化
洋上風力・再エネ関連インフラ投資の増加 施工キャパシティ制約による受注選別の必要性
都市再開発の大型化、インバウンド関連の宿泊施設需要 地政学リスクによる企業の設備投資計画延期

手持工事利益率の増減要因

改善要因 悪化要因
資材高騰前の低採算工事が竣工・消化完了 鉄鋼・セメント等の資材価格再上昇(建設資材物価指数14カ月連続上昇中)
追加工事・設計変更の積み上げ(高利益率) 建設技能者不足による外注費上昇
受注時の価格適正化(採算選別方針) 施工管理ミス・工期遅延による損失計上
施工技術革新(自動化・DX) 予期せぬ地盤・気象条件による工事コスト増

業績予測(3シナリオ)

FY2026通期(2026年3月期)

項目 ベースケース 上振れシナリオ 下振れシナリオ
前提 会社予想通り進捗。国内利益率改善継続、海外の一部期ズレ 土木粗利率25%超維持、海外売却が計画前倒し 海外開発売却さらに延期、資材費再上昇
売上高 3兆300億円(会社予想) 3兆500億円以上 2兆9,500億円程度
営業利益 2,280億円(会社予想) 2,400億円超 1,900~2,000億円
当期純利益 1,700億円(会社予想) 1,850億円超 1,400~1,500億円
蓋然性 Q3進捗率(営業利益75.4%)が計画通りであり、最も蓋然性が高い 土木利益率の高水準維持が条件。海外売却前倒しがあれば実現余地あり 米国金利再上昇や大型工事損失計上がトリガー。現時点では可能性は低い

FY2026 Q3累計の営業利益進捗率は75.4%であり、季節性を考慮しても通期会社予想2,280億円の達成は高い蓋然性があります。Q4に海外開発物件の売却が複数予定されており、これが計画通り進めばベースケース達成、前倒し実現なら上振れの余地があります。

FY2027以降の方向性

受注残1兆7,503億円が示す通り、国内建設売上は3兆円台を維持する見通しです。中期経営計画の2026年度純利益目標1,300億円はFY2026で既に超過達成見込み(予想1,700億円)であり、2030年度目標1,500億円の前倒し達成も視野に入っています。上振れ余地はデータセンター・半導体工場の大型案件継続と米国金利低下、下振れリスクは景気後退と技能者不足による施工制約です。

将来性・成長性

鹿島の中期経営計画(2024~2026年度)は連結純利益1,300億円以上を目標としていましたが、FY2026通期予想は1,700億円であり、目標を約400億円上回る見込みです。2030年度目標の1,500億円も前倒し達成をコミットしています。ROE10%以上の維持、配当性向40%目安も掲げており、株主還元姿勢は明確です。

成長の時間軸で整理すると、短期(1~2年)は受注残の施工消化と高利益率の維持が確実な利益ドライバーです。中期(3~5年)はデータセンター・半導体工場・洋上風力などの構造的需要と、3ヵ年で1兆2,000億円の成長投資計画が成長を支えます。長期(5年超)は建設技能者の構造的減少(2035年推計264万人、2024年比▲13%)への対応として、施工自動化・DX推進が不可欠であり、ここで生産性向上に成功するかが利益率の持続性を左右します。

競争優位性

鹿島はスーパーゼネコンの中でも海外事業比率が高く(連結売上の約38%)、特に米国の物流倉庫開発で独自のポジションを構築しています。国内では土木事業の技術力(洋上風力基礎工事、大型シールドトンネル等)に定評があり、追加・設計変更案件を通じた利益率改善力が競争優位として現れています。

同業他社比較

企業名 売上高(直近期) 営業利益率 海外展開 差別化ポイント
鹿島建設 2兆9,118億円 5.2%(FY2025)→ 7.5%(FY2026予想) 海外売上比率約38%、米国物流倉庫開発に強み 海外不動産開発による利益変動型モデル
大林組 2兆3,171億円(筆者推定・直近公開資料ベース) 5%前後(筆者推定) 北米・アジア・大洋州で展開 PPP/PFI・再エネ投資に注力
大成建設 1兆8,869億円(筆者推定・直近公開資料ベース) 5%前後(筆者推定) 海外比率は比較的低い 国内建築に強み、免震・制震技術
清水建設 2兆0,651億円(筆者推定・直近公開資料ベース) 4%前後(筆者推定) アジア中心 不動産開発・投資事業を拡大中

※大林組・大成建設・清水建設の数値は各社直近公開情報からの筆者推定であり、決算期や開示基準が異なる場合があります。正確な比較には各社の最新決算資料をご確認ください。

鹿島はスーパーゼネコン4社の中で売上高・海外比率ともにトップクラスであり、海外開発事業の利益変動を許容する代わりに、金利低下局面では他社にない利益急回復のポテンシャルを持つ点が投資家にとっての差別化要素です。

リスク

リスク項目 内容 影響度 顕在化条件 対称性(強気材料との裏表)
大型工事の不採算化 受注残が過去最高水準にある局面では、施工管理の負荷も増大。工事損失引当金の計上リスク 資材費の急騰、設計変更による工期延長、施工体制の逼迫 受注増加・利益率改善の裏返し。高受注残は将来売上の確実性と同時に採算管理リスクも意味する
米国開発物件の売却遅延 金利高止まりでCap Rate上昇、買主の意思決定延期により利益の期ズレが拡大 FRBが利下げを長期間停止、トランプ政権の関税政策で物流需要が不透明化 金利低下局面では逆に利益急回復トリガーとなる
建設技能者不足 2035年に264万人へ減少予測。外注費上昇を通じて利益率を下押し 技能者の高齢化加速、外国人材受入が計画未達 施工キャパシティ制約は受注単価の上昇要因でもある
建設資材価格の再上昇 鉄鋼(東京製鉄が約4年ぶり全品種値上げ)、生コン(東京地区で2027年度に3,000円/㎥値上げ予定)、アスファルト(イラン情勢で高騰)など 中東情勢の悪化、原油高騰、鉄スクラップ価格上昇 コスト上昇は発注者への価格転嫁圧力を高め、受注単価改善にもつながりうる
為替リスク(円高) 海外売上約1.1兆円の円換算額が減少 FRB利下げ加速+日銀利上げの組み合わせ 円高は海外資材の調達コスト低減にも寄与

まとめ

鹿島建設の業績を動かす最大の変数は、「受注残高の量」と「その中に含まれる工事の利益率」の2つです。FY2025末の単体受注残1兆7,503億円(過去最高水準)と、FY2026 Q3累計で土木24.6%・建築11.8%まで改善した粗利率は、今後2~3年の利益成長の方向性をほぼ確約しています。一方、海外開発事業は米国金利動向次第で利益計上タイミングが大きく変動するため、四半期ごとの利益ブレに注意が必要です。

投資家にとっての最大のポイントは、現在の利益率改善が「一時的な追い風」なのか「構造的な変化」なのかを見極めることです。受注時の採算選別方針が継続する限り、受注残消化とともに利益率改善は持続すると見られますが、資材費再上昇や技能者不足は常に逆風として意識する必要があります。

次の四半期決算で確認すべき3指標:

  • 手持工事の売上総利益率(土木23%台・建築11%台を維持できるか。利益成長の持続性を直接示す)
  • 海外開発物件の売却実績(Q4の売却が計画通り進んだか。通期利益の着地を左右する)
  • ③連結建設受注高の最終着地(通期予想3兆1,000億円に対する達成度。翌期以降の売上・利益の先行指標)

執筆:FIC投資研究所

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任において行ってください。記載された情報は作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではありません。

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