業界分析
進捗率の見方|会社予想に対して決算が順調かを読む

進捗率は、会社の通期予想に対して、今の決算がどれくらい進んでいるかを見る指標です。ただし、単純に25%、50%、75%を超えたかだけで判断せず、季節性や前年同期、会社予想の前提と合わせて読む必要があります。

この記事では、決算短信や企業分析でよく出てくる進捗率について、初心者向けに「何を見る指標か」「高ければ良いのか」「どこに注意するのか」を整理します。

この記事の結論

  • 進捗率は、通期予想に対して売上や利益がどれだけ進んだかを見る指標。
  • 第1四半期で25%、上期で50%、第3四半期で75%を目安にするが、機械的には判断しない。
  • 季節性がある会社では、特定の四半期に売上や利益が偏ることがある。
  • 進捗率が高くても、会社が上方修正しない場合は後半の減速要因を確認する。
  • FICでは、進捗率を会社予想の達成条件と次に見るKPIへつなげて確認する。

1. 進捗率とは何か

進捗率は、会社が出している通期予想に対して、実績がどれくらい進んでいるかを見る指標です。売上高、営業利益、経常利益、純利益などで使われます。

進捗率 = 累計実績 ÷ 通期会社予想 × 100

たとえば通期の営業利益予想が100億円で、上期の営業利益が60億円なら、営業利益の進捗率は60%です。

用語メモ:会社予想

会社予想は、企業が公表する通期の売上や利益の見通しです。投資家は、実績がこの予想に対して順調かどうかを確認します。

2. 目安はあるが、機械的に判断しない

単純に考えると、1年を4四半期に分けるため、第1四半期で25%、上期で50%、第3四半期で75%が一つの目安になります。

ただし、実際の企業業績は四半期ごとに均等ではありません。売上や利益が特定の季節に偏る会社では、目安を超えていても順調とは限らず、目安を下回っていても問題ないことがあります。

期間 単純な目安 注意点
第1四半期 25% 期初費用や季節性で低く出る会社がある
上期 50% 下期偏重・上期偏重を確認する
第3四半期 75% 第4四半期に費用や納品が偏る会社がある

3. 季節性を見る

進捗率を見るときに一番大切なのは、季節性です。小売、建設、空調、ゲーム、医薬品、学校・自治体向けビジネスなどは、売上や利益が特定の四半期に偏ることがあります。

たとえば、第4四半期に納品が集中する会社では、第3四半期までの進捗率が低くても、会社計画どおりの場合があります。逆に、上期に需要が集中する会社では、上期進捗率が高くても後半は伸びにくいことがあります。

ワンポイント解説:下期偏重

下期偏重とは、1年の後半に売上や利益が出やすいことです。進捗率が低く見えても、毎年そういう会社なら問題とは限りません。

4. 前年同期の進捗率と比べる

進捗率は、前年同期と比べると見やすくなります。同じ第2四半期でも、前年は進捗率45%、今年は60%なら、今年は計画に対して前倒しで進んでいる可能性があります。

ただし、会社予想の水準が前年と違う場合もあります。今年の会社予想がかなり高くなっているなら、進捗率が前年並みでも達成ハードルは高いかもしれません。

見る比較 確認すること
前年同期の進捗率 今年の進み方が例年より速いか遅いか
会社予想の水準 今年の目標が前年より高いか低いか
季節性 後半に売上や利益が偏る会社か
会社コメント 上方修正や据え置きの理由が説明されているか

5. 進捗率が高いのに上方修正しない理由

決算で進捗率が高いのに、会社が通期予想を据え置くことがあります。この場合、会社が慎重すぎる場合もあれば、後半に費用増や需要減を見込んでいる場合もあります。

たとえば、原材料費の上昇、人件費増、広告宣伝費、設備投資負担、為替前提、季節的な需要減などが後半に出る可能性があります。

ワンポイント解説:据え置き

据え置きとは、会社が通期予想を変更しないことです。進捗率が高くても据え置く場合は、後半の前提を確認します。

6. FICではどう見るか

FIC投資研究所では、進捗率を「良い・悪い」の単純判定ではなく、会社予想の達成条件を確認する入口として見ます。

まず、進捗率が前年同期より高いか低いかを確認します。次に、季節性や会社予想の前提を見ます。最後に、次の決算で確認すべきKPIを決めます。

順番 確認すること 見る指標
1 会社予想に対する進捗を見る 売上、営業利益、純利益
2 前年同期と比べる 前年進捗率、前年利益率
3 季節性と後半要因を見る 需要期、費用計上、納品時期
4 次に見るKPIを決める 受注、在庫、月次、価格転嫁、稼働率

7. まとめ

進捗率は、会社予想に対して決算がどれくらい進んでいるかを見る便利な指標です。ただし、目安を超えたかどうかだけで判断すると、季節性や後半の費用を見落とすことがあります。

進捗率を見るときは、会社予想、前年同期、季節性、会社コメントをあわせて確認します。そして、次の決算で何を見れば会社予想の達成に近づいているかを考えることが重要です。

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執筆:FIC投資研究所

本記事は、企業分析を読むための基礎知識を整理した情報提供記事です。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任でお願いいたします。

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