ピックアップ企業
【企業別分析】アインホールディングス(9627)

株式会社アインホールディングスについて有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。

企業概要

企業名株式会社アインホールディングス
上場市場(上場年月)東証プライム(1994/3)
時価総額(業種別時価総額順位)2,026億円(小売業 38 / 347 社)
外国法人持株比率33.9%
予想配当利回り1.06 %
監査法人EY新日本有限責任監査法人
業務内容調剤薬局最大手。調剤薬局やドラッグストアなどのアインファーマシーズを運営。美のセレクトショップ「アインズ&トルペ」を都市部で展開。セブン&アイHDと資本業務提携。集客回復し、23.4期中間期は増収増益。 記:2022/12/28

  転載元:FISCO

競合他社

株式会社アインホールディングスの競合他社としては、調剤薬局業界の上位5社に数えられる以下の企業が挙げられます。

  • 日本調剤(3341)
  • クオール(3034)
  • メディカルシステムネットワーク(4350)
  • スズケン(9987)

これらの企業も全国に調剤薬局を展開し、医療機関との連携や在宅医療などのサービスを提供しています。

同社は、これらの競合他社と差別化を図るために、以下のような取り組みを行っています。

  • 調剤薬局で処方箋に基づいて調剤した医薬品をドラッグストアで受け取れる「アイン・ファーマシーズ・ドラッグストア」を展開し、顧客満足度や利便性を高める。
  • 医療機関と連携して処方箋電子化システムや在宅医療支援システムなどを導入し、患者さんの安全性と利便性を向上させる。
  • 医薬品だけでなく、健康食品や化粧品なども販売する「アイン・ウェルネス」や「アイン・コスメティック」などのブランドを展開し、幅広いニーズに応える。

事業内容

株式会社アインホールディングスは、調剤薬局やドラッグストアなどのチェーン店を運営する持株会社です。

1969年に設立され、現在は北海道札幌市白石区に本社を置いています。傘下には、アインファーマシーズやコム・メディカルなどの医薬流通サービスを提供するグループ会社があります。

同社の提供する製品やサービスは、主に調剤薬局で処方箋に基づいて調剤した医薬品やドラッグストアで販売する一般用医薬品、健康食品、化粧品などです。また、在宅医療や介護支援などのサービスも展開しています。

同社の得意分野は、調剤薬局の全国チェーン展開と医療機関との連携です。全国各地に約1,600店舗以上の調剤薬局を展開し、地域のニーズに応える高品質な調剤サービスを提供しています。

また、医療機関と連携して処方箋電子化システムや在宅医療支援システムなどを導入し、患者さんの安全性と利便性を向上させています。

強み・弱み

アインホールディングスの強みは、以下のように考えられます。

  • 全国に調剤薬局を展開し、医療機関との連携や在宅医療などのサービスを提供している。
  • 調剤薬局で処方箋に基づいて調剤した医薬品をドラッグストアで受け取れる「アイン・ファーマシーズ・ドラッグストア」を展開し、顧客満足度や利便性を高めている。
  • 医薬品だけでなく、健康食品や化粧品なども販売する「アイン・ウェルネス」や「アイン・コスメティック」などのブランドを展開し、幅広いニーズに応えている。

アインホールディングスの弱みは、以下のように考えられます。

  • 敷地内調剤薬局に注力しており、今後の市場拡大が難しい可能性がある。
  • 2022年調剤報酬改定が薬局経営に逆風となっている。
2022年調剤報酬改定

2022年調剤報酬の改訂は、薬局経営にとっては逆風と言えるでしょう。調剤報酬の見直しや制度の変更により、薬局の収益性が低下する可能性が高いからです。
具体的には、以下のような点が挙げられます。
・調剤基本料や薬学管理料などの点数が減少した(特にグループの店舗数が300店を超える大手の調剤薬局を対象に技術料が引き下げられるなど調剤薬局大手が狙い撃ちされています)
・後発医薬品使用率や薬剤師配置などに応じて減算される特別調剤基本料が新設された
・リフィル処方箋や分割調剤などに対する評価体系が変更された
・2023年度の中間年度薬価改定で不採算再算定品が1100品目に上る
以上のように、今回の改訂は薬局経営にとって厳しい状況をもたらしています。生き残りをかけた薬局経営競争が始まっています。

将来的には、以下が期待されます。

  • 高齢化社会や新型コロナウイルス感染症の影響で、調剤薬局業界は需要が増加すると予測される。
  • ドラッグストア事業や健康食品事業など多角的な事業展開を行っており、収益源の多様化や安定化につながる可能性がある。
  • M&Aや提携など積極的な成長戦略を採っており、競争力やシェア拡大に努めている。

目標とする経営指標

アインホールディングスは、積極的な出店による企業規模の拡大を推し進めると同時に、財務体質を強化し、企業価値を高めることを重要視しており、以下の財務目標を設定しています。

  • ROE:15.0%以上
  • ROA:4.5%以上
バフェットコード

事業セグメント

アインホールディングスの事業セグメントは、以下の通りです。

セグメント取扱商品またはサービスの内容
ファーマシー事業調剤薬局、ジェネリック医薬品の販売、人材紹介業及びコンサルティング業等により構成
リテール事業コスメ&ドラッグストアの経営等により構成
その他の事業売店事業や不動産賃貸業を行う

売上の規模としては「ファーマシー事業」で太宗が構成されています。

利益についても「ファーマシー事業」から安定して計上があります。

業績

アインホールディングスの過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

EPSの推移と予想EPS

四季報データより作成

四半期EPS推移

四季報データより作成

2023年4月期3Qは、売上高は2,639億円(前年同期比+12.5%増)、営業利益は116億円(前年同期比+14.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は66億円(前年同期比+6.4%増)となりました。

ファーマシー事業

当第3四半期連結累計期間においては、既存店の処方箋枚数の回復と前期出店した店舗が堅調に推移したことに
より、増収増益となっています。

営業開発においては、引き続き、大型薬局の積極的な出店と投資回収を重視したM&Aを出店戦略とし、さらなる事業規模の拡大を行うとともに、店舗運営の効率化を推進していくこととしています。

電子処方箋サービス

2023年1月の厚生労働省による電子処方箋管理サービス運用の開始に先立ち、アイングループでは、運用プロセスの確立や先進的取り組み、優良事例の収集、ガイドラインの策定等を目的とし、2022年10月末に開始された厚生労働省による「電子処方箋のモデル事業」に参画しています。

現在、同社グループの全国の薬局において2023年1月に開始となった電子処方箋に対応するため、順次環境の整備を進めています。今後も、環境変化に対応し、患者様がいつでも安心して薬物治療を継続していただけるよう取り組んでまいります。

2023年4月期通期業績予想

2023年3月3日に、通期の業績予想を下方修正しています。

通期の業績予想の修正理由としては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ファーマシー事業における処方箋応需枚数の回復が当初の見込みよりも遅れており、その影響が当連結会計年度末まで続くと想定したことによるものです。

テクニカル分析

TradingView
TradingView

上場してから株価は上昇トレンドにのり大きく上昇しました。

コロナショック以降はレンジ相場を形成しています。

株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。

株価からBPSを控除した金額の時間推移を利用した予測モデルをModel1、株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。

相関係数はModel1で28.9%、Model2で83.9%となっておりますので、株価とEPSには強い相関関係があるといえます。

相関係数の絶対値一般的な解釈
0~20%ほとんど相関関係がない
20~40%やや相関関係がある
40~70%かなり相関関係がある
70~100%強い相関関係がある

Model1

Model1で算出した価格は2023年4期で8,476円、2024年4月期で8,999円となっています。

Model2

予想EPSは2023年4月期が256.2円、2024年4月期が313.1円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ7,525円9,972円となっています。

Twitterでフォローしよう