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【企業別分析】イーディーピー(7794)

株式会社イーディーピー(EDP)について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

企業概要

企業名株式会社イーディーピー
上場市場(上場年月)東証グロース(2022/6)
時価総額(業種別時価総額順位)338億円(その他製品 33 / 110 社)
外国法人持株比率11.5%
予想配当利回り0.00 %
監査法人EY新日本有限責任監査法人
業務内容人工ダイヤモンド宝石(LGD)製造用種結晶が主要製品。ダイヤモンドの人工合成技術に強み。半導体向け単結晶基板や光学部品用素材なども事業領域。大型種結晶の割合増や生産効率の向上もあり、3Q累計は利益急伸。 記:2023/03/02

  転載元:FISCO

競合他社

株式会社イーディーピーの競合他社については、国内ではほとんど存在しないと言われています。海外では、米国のエレメンタルシックス社や中国のアンホイクリスタル社などが合成ダイヤモンド単結晶の製造を行っていますが、品質や規模ではイーディーピーに劣ると考えられます。

イーディーピーは、以下のように競合他社と差別化を図っています。

  • 高品質な単結晶の製造技術を持っている。
  • 半導体や光学などの高付加価値な市場に注力している。
  • 研究機関や大学との連携を強化している。

事業内容

株式会社イーディーピーは、合成ダイヤモンド(人工ダイヤモンド)の製造と応用に特化した会社です。合成ダイヤモンドは、さまざまな分野で活用できる地球に優しい材料です。

同社は、単結晶の種結晶、基板、ヒートシンク、光学部品などの製品を提供しています。

人工ダイヤモンド(LGD)については、1955年に超高圧合成法による人工合成技術が開発され、1981年には気相合成技術が開発され、各種の応用に人工ダイヤモンドが使用されています。

同社はこの人工ダイヤモンドを製造する手法の一つである気相合成法において、宝石を成長させるための元となる「種結晶」を主要製品として、販売しています。この種結晶を成長させて原石を作り、これをカットと研磨を行い、宝石を作ります。最終的には宝飾品に加工して、消費者に届きます。従って、同社は、LGD市場のサプライチェーンにおいて、最上流のポジションに位置しています。

同社は種結晶は直接もしくは商社を通じて人工宝石製造会社等に供給し、そこでできた宝石は、直接もしくは宝石販売会社等を通じて消費者に販売されています。一方、同社の生産技術は、産総研が開発した手法を元にしており、この技術の知的財産権は産総研が有し、同社は特許等実施許諾契約(契約期限2023年10月31日)を締結しており、当該契約に基づき、他の製品を含み、販売した製品金額から算出した実施料を、産総研に納入しています。

強み・弱み

株式会社イーディーピーの強みについては、以下が挙げられます。

  • 世界最高水準の合成ダイヤモンド単結晶の製造技術を持っている。
  • 合成ダイヤモンドの応用分野を開拓している。
  • 半導体や光学などの高付加価値な市場に参入している。

株式会社イーディーピーの弱みについては、以下が挙げられます。

  • 製品の需要がまだ不安定である。
  • 製造設備の増強や研究開発に多額の投資が必要である。

イーディーピーが扱う合成ダイヤモンドは、環境に優しく、優れた物性を持つ材料として注目されています。また、半導体や光学などの分野では、合成ダイヤモンドの特性が有効に活用できる可能性が高く、将来に希望が持てます。

目標とする経営指標

2022年6月に公表された「事業計画及び成長可能性に関する事項について」によると、主要KPI(モニタリング指標)としては、以下が設定されています。

  • 売上高成長率
  • 経常利益率
  • ROE
  • 自己資本比率
バフェットコード

事業セグメント

イーディーピーの事業セグメントは、以下の通りです。

セグメント取扱商品またはサービスの内容
ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業ダイヤモンドの単結晶をガスから成長させる人工的な方法で製作し、宝飾品や電子材料分野向けに販売を行う。また、ダイヤモンド単結晶の品質や性能を向上させるために、研究開発を行う。
ダイヤモンド単結晶は、優れた物性を持つダイヤモンドを様々な分野で利用するために、最も理想的な特性が発揮できる形態です。例えば、半導体や光学などの高付加価値な市場では、ダイヤモンド単結晶が高い熱伝導率や高い耐熱性などの特徴を生かして活用されています。

業績

イーディーピーの過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

EPSの推移と予想EPS

四季報データより作成

四半期EPS推移

四季報データより作成

2023年3月期3Qは、売上高は21.0億円(前年同期比+89.4%増)、営業利益は10.5億円(前年同期比+172.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7.2億円(前年同期比+154.5%増)となりました。

建設して来た島工場が11月に稼働し、生産能力が拡大し、また種結晶生産効率も引き続き向上したので、当第3四半期売上、各利益は過去最高を記録しました。

LGD市場は拡大は継続しているものの、小型宝石に供給過剰が見られ、価格低下が起こっています。種結晶ユーザーの一部は、小型宝石用種結晶購入量を減少させ、大型宝石用種結晶購入量を増やす方向にシフトしているため、大型種結晶比率は上昇しています。

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LGD市場は一時的に在庫調整局面となっていますが、2023年半ばには回復するとの見込みが、市場関係者のコンセンサスとのことです。

受注状況

詳しい受注状況については資料が開示されていないので不明ですが、種結晶の2023年3月期4Q分受注は減少し、売上が以前の予想を下回ったとの記載があります。

新工場による生産能力拡大

イーディーピーは、一部、生産量が少ない商品に関しては、高額な生産装置が必要な工程について外部に生産を委託しているものの、販売する単結晶ダイヤモンドの大半を自社で生産しています。

同社の生産拠点は、大阪府茨木市にある横江第1工場、横江第2工場の2工場です。

同社は種結晶に対する需要の増加を受けて、ダイヤモンド単結晶の製造装置へ継続的に投資をすると共に、生産工程の改善を進めており、同社のダイヤモンド単結晶の生産能力は20/3期の71,000カラットから22/3期の110,000カラットへと拡大しています。

同社は、上記 2 工場の近くに、新工場(名称:島工場)を建設しており、 2022年11月に竣工しました。毎年生産設備の増強を行い、26/3 期には生産能力を現在の 3 倍弱に高めたいとしています。また、同社が開発した新成長装置の導入により、成長面積を高めることで、成長装置 1 台当たりの生産能力倍増を目指しています。

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イーディーピーは種結晶の生産能力の拡大を中長期的な成長ドライバーと位置付けています。

LGD市場規模

ダイヤモンドは宝石市場が最大、研磨剤など他用途の10倍以上の規模があります。

世界のダイヤモンド宝石市場はおよそ1.1億カラット、うち6%程度がLGD市場ですが、LGDは鉱山開発による自然破壊等が無く、シェアは今後も拡大する見通しです。

新市場への挑戦

現在、イーディーピーの製品別販売実績は、LGD(人工ダイヤモンド)の種結晶が93.0%を占めており、半導体基板材料としては3.0%、光学部品やヒートシンクとしては1.9%、精密加工工具素材としては2.0%しかありません。

ダイヤモンドの持っている高熱伝導率や光やX線を透過する等の優れたダイヤモンドの特性は、デバイスの除熱や光学機器等に応用されます。同社ダイヤモンドが大型サイズ+安価+大量生産可能の特徴を合わせ、競争優位性を発揮できます。

今後、ヒートシンク、光学部品、半導体デバイス向けの素材市場創成に挑戦していくこととしています。これらの製品が適用される機器やシステムは、省エネ効果や高速情報通信等を実現できる重要な産業要素であり、当社としESGへの貢献にもつながります。

中期経営計画

株式会社イーディーピーの中期経営計画については、2022年6月に公表された「事業計画及び成長可能性に関する事項について」に詳しく記載されています。この資料によると、同社は以下のような中期経営計画を掲げています。

  • 2021年度から2023年度までの3カ年で、合成ダイヤモンド単結晶の製造能力を約3倍に増強する。
  • 半導体や光学などの高付加価値な市場における合成ダイヤモンド単結晶の需要拡大を見込み、売上高を大幅に伸ばす。
  • 研究開発や設備投資に積極的に取り組み、技術力や競争力を高める。
  • 海外市場への進出や新規事業の創出を検討する。

主要KPI(モニタリング指標)としては、以下が設定されています。

  • 売上高成長率
  • 経常利益率
  • ROE
  • 自己資本比率

テクニカル分析

TradingView

決算での高い成長率や上方修正等によって、上場後も右肩上がりの人気銘柄でしたが、一転下方修正となったことから大幅に売られてしまっています。

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