
株式会社きずなホールディングスについて有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。
Contents
きずなの企業概要
企業名 | 株式会社きずなホールディングス | 設立年月日 | 2000/7 |
時価総額 | 70億円 | 業種別 時価総額順位 | サービス業 308 / 521 社 |
上場年月 | 2020/3 | 上場市場 | 東証グロース |
従業員数 | 連 236 名 単 35 名 | 外国法人持株比率 | 24.9% |
予想配当利回り | 0% | 監査法人 | 太陽有限責任監査法人 |
業務内容 | 家族葬のファミーユ、花駒が柱。家族葬のパイオニア。品揃え、価格競争力が強み。グループ直営ホール数は109店舗。10ホールの新規出店実施。M&Aで展開エリア拡大。増収効果などで22.5期通期は大幅増益。 記:2022/07/19 |
転載元:FISCO
きずなの事業について
きずなグループは、きずなHD及び連結子会社3社(株式会社家族葬のファミーユ、株式会社花駒、株式会社備前屋)の計4社で構成されています。
旧来の葬儀の在り方を見直し、生活者の立場から必要とされるサービスを検討した結果、故人と
の最期の別れを親しい家族のみで営むことができる空間を提供する「家族葬」という新しいジャンルの葬儀を生み出し、「家族葬のファミーユ」ブランドを確立しました。
きずなグループは葬儀事業の単一セグメントですが、葬儀売上を構成する葬儀施行業、仲介手数料収入を構成するネット集客業、及びその他のサービスを行っています。

目標とする経営指標
きずな独自のオーダーメイド型葬儀である「オリジナルプラン葬儀件数」を業績向上につながる重要業績評価指標(KPI)と位置付け、当該数値を向上させる施策を通じて、葬儀件数の増加及び葬儀単価の向上に取り組んでいます。
オリジナルプランとは、「ひとりひとりに合った葬儀の実現」という新しい価値の創造を目指し、2016年より開始したきずな独自のオーダーメイド型の葬儀プランです。
通常のセットプランと比較し、高付加価値・高単価な商品であり、主に顧客満足度や葬儀単価向上の指標となっています。
事業セグメント
きずなの事業セグメントは、「葬儀事業」のみの単一セグメンになります。(有価証券報告書2021年5月期の【事業の内容】より)
セグメント | 取扱商品またはサービスの内容 |
---|---|
葬儀事業 |
①葬儀施行業(株式会社家族葬のファミーユ、株式会社花駒、株式会社備前屋) 葬儀売上は葬儀施行業の収益で構成されており、葬儀施行業は「直営モデル」と「委託モデル」の2つの形態で行う。 主な事業内容は、葬儀施行及び葬儀付帯業務の提供です。 企業理念をよりよく反映できる直営ホールでの葬儀施行を主としており、直営モデルは全体の葬儀件数の約8割を占める(2021年5月31日時点)。 地価相場等が高いため初期投資がかさむ、あるいは家賃相場が高いため十分なキャッシュ・フローを得られない等の理由により、初期投資の回収期間が長期にわたり直営モデルでは十分な投資効率を得られない地域では、公営斎場等を活用して葬儀の施行を提携葬儀社に委託し、お客様に葬儀サービスを提供する委託モデルでの出店を行う。 ②ネット集客業(株式会社家族葬のファミーユ、株式会社花駒、株式会社備前屋) 仲介手数料収入はネット集客業と仏壇等アフター商材販売の収益で構成されており、このうちネット集客業は、インターネットを使ったプロモーションによりお客様から葬儀施行の依頼を頂き、提携葬儀社及び代理店に仲介している。 ③その他のサービス(株式会社家族葬のファミーユ) 「家族葬のファミーユ」ブランドを使用するフランチャイジー(FC)からのロイヤリティ収入等、葬儀売上と仲介手数料収入いずれにも属さないサービスの収益で構成されております。 |
きずなの業績
きずなの過去の業績は以下の通りです。

EPSの推移と予想EPS

毎年順調に増収増益となっています。
四半期EPS推移

2022年3月期は、営業収益が9,270百万円で前年度に比べ1,239百万円の増収(+15.4%)、営業利益は1,072百万円で338百万円の増益(+46.2%)、当期利益は598百万円で239百万円の増益(+66.6%)となりました。
売上収益の分解
2021年5月末までの店舗数は99店舗で、8,030+481+219-47=8,683百万円を99店舗で稼得していますので、1店舗あたりの売上収益は87.7百万円です。
2022年5月期の出店数は10店舗なので877百万円通年で寄与する見込みですが、すでに319百万円は計上されているので2023年5月期には558百万円が追加で寄与することが予想されます。
2023年5月期の売上収益は10,200百万円と9,270百万円から930百万円の増加で、そのうち558百万円程度は2022年5月期出店分ですでに予想されているので、残りの372百万円は別で稼得することになりますが、追加出店や最近の既存店葬儀件数の増加で達成できそうですね。

葬儀件数について
2022年5月期3Qおよび4Qは広告宣伝投資の強化が奏功し、件数大幅増加となっています。
月次業績に関するお知らせ
毎月、月次業績に関するお知らせとして葬儀売上、葬儀件数、そして葬儀単価が月次でリリースされています。

1ホール当たりの件数と葬儀単価が重要だと考えていて、ホール数が増えたら普通は葬儀件数総数が増えないとおかしく、既存店と比較しても増えているのかがわかるように1ホール当たりの件数として"@件数"として表示しています。
あとはコロナで減少した参列者数によって変動する葬儀単価を上昇させていくこと。
葬儀単価について
コロナ本格化の20/5期4Qに単価は大きく下落しました。
直近では、22/3月にまん延防止等重点措置解除となりましたが、その後も新規感染者数は高い水準で推移し、4月以降の単価回復も限定的となっています。
この葬儀単価は参列者数により変動し、2020年5期の通期平均参列者数は31.2人で葬儀単価は903千円でしたが、2022年5期4Qには22.7人で787千円まで減少しています。
コロナに対しての認識が変わってくればまた参列者数が戻り、葬儀単価も上昇してくると見込んでいます。
オリジナルプラン(オーダーメイド型葬儀プラン)
低価格帯葬儀の増加により、オリジナルプラン件数比率は横這いとなっていますが、件数は着実に増加しています。(前期比+352件、+17.5%)

営業利益の分解
2021年5月期出店および2022年5月期出店にかかる追加の費用としては、多く見積もっても労務費143+減価償却費189+広告宣伝費36+人件費131=499百万円。
それに対しそれらの出店で増加した収益は319+481+253=1,053百万円。
2021年5月期の営業利益率は733/8,030=9.12%、上記出店分にかかる営業利益率は(1,053-499)/1,053=52.6%なので、出店店舗に関しては順調であるといえそうです。

テクニカル分析

相場環境の悪化、そしてコロナによる参列者数の減少など葬儀施行業界も厳しい時代だったので株価も低迷していましたが、コロナ明けに向けて緩やかな回復基調にあります。
PERは10倍程度と過熱感もなく、このまま順調にいけば上場来高値を更新していくものと考えています。