サムコ株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。
記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。
Contents
企業概要
企業名 | サムコ株式会社 |
上場市場(上場年月) | 東証プライム(2001/5) |
時価総額(業種別時価総額順位) | 2,026億円(機械 100 / 226 社) |
外国法人持株比率 | 0.9% |
予想配当利回り | 0.95 % |
監査法人 | 有限責任 あずさ監査法人 |
業務内容 | 半導体製造装置メーカー。防水や絶縁等を行うCVD装置、緻密加工を行うドライエッチング装置、ドライ洗浄装置を国内外に提供する。23.7期1Qは実装・表面処理分野が伸長。各種表面改質用途の販売増が寄与。 記:2023/01/14 |
転載元:FISCO
競合他社
サムコ株式会社は、CVD装置やエッチング装置の製造メーカーの一つです。
CVD装置の分野では、東京エレクトロン(8035)や日本電子(6951)などの大手企業と競合しています。
サムコは、東京エレクトロンや日本電子とは、オプトデバイス分野やLSIデバイス分野などの特殊なニッチ市場において、独自のCVD技術やノウハウを活かして差別化を図っています。また、顧客との密接な技術協力やアフターサービスにも力を入れています。
東京エレクトロンや日本電子は、より大規模で汎用性の高いCVD装置を提供しており、人工知能(AI)を使って顧客の半導体工場の稼働率を高めるサービスも展開しています。
エッチング装置の分野では、ラムリサーチ(米国)、東京エレクトロン(8035)、アプライドマテリアルズ(米国)がシェア率を巡ってしのぎを削っていますが、サムコの競合他社としては、芝浦メカトロニクス(6590)や住友精密工業(6355)などが挙げられるでしょう。
これらの企業もドライエッチング装置を製造・販売しています。
事業内容
サムコ株式会社は、半導体や電子部品の製造装置のメーカーです。
CVD装置、ドライエッチング装置、ドライ洗浄装置などを提供しています。
オプトデバイス分野、電子部品分野、LSIデバイス分野において最先端の技術を持っています。
得意分野はCVD技術で、化学気相成長法によって半導体や電子部品の表面に薄い膜を形成することができます。
強み・弱み
サムコの強みは以下のとおりです。
- 独自の液体ソースCVD®技術など、高品質で低コストなプラズマCVD装置を開発・提供できること。
- 世界各国に拠点を持ち、海外市場にも積極的に進出していること。
- 大学などの研究機関や官庁との実績と知名度が高い。
サムコの弱みは以下のとおりです。
- 半導体メーカーやディスプレイメーカーなどの産業用顧客に対しては、競合他社に比べてシェアが低く、認知度が不足していること。
- 製品開発や生産設備の投資が多く、利益率が低めであること。
サムコの将来性は以下のとおりです。
- 半導体やナノテクノロジー分野は今後も成長が見込まれる市場であり、サムコはそのニーズに応えられる技術力や製品力を持っているため 、ポテンシャルは高いと言えます。
- しかし、競争環境も厳しくなっており、産業用顧客への販路拡大や製品差別化などの戦略が重要になります。
目標とする経営指標
サムコは中期的にも収益力の高い企業であり続けるべく、装置製造原価率(装置製造原価/販売価格)50%未満としながら売上高を拡大していくことにより、売上高営業利益率20%以上を目指しています。
売上高の拡大のため、研究開発機市場と生産機市場のそれぞれに対応した製品の拡販に努めるとともに、中期的には海外売上高比率を50%以上に引き上げることとしています。
事業セグメント
サムコの事業セグメントは、以下の通りです。
セグメント | 取扱商品またはサービスの内容 |
---|---|
半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業 | サムコの製品は、薄膜を形成するCVD(Chemical Vapor Deposition=化学的気相成長)装置、薄膜を微細加工するエッチング装置、基板表面などをクリーニングする洗浄装置、その他装置等に区分されます。 |
売上の規模としては「エッチング装置」が一番大きく、「部品・メンテナンス」、「CVD装置」と続いていきます。
業績
サムコの過去の業績は以下の通りです。
EPSの推移と予想EPS
四半期EPS推移
2023年7月期1Qは、売上高は14.2億円(前年同期比+31.5%増)、営業利益は2.5億円(前年同期比+377.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2.1億円(前年同期比+347.9%増)となりました。
サムコの関わる化合物半導体及び電子部品製造装置の販売マーケットにおいて5Gスマートフォン向けや自動車向けセンサーなどの電子部品分野、あるいはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems=微小電気機械素子)といった先端分野での投資が幅広い企業で進み、半導体等電子部品製造装置の需要は拡大しています。
化合物半導体とは、2種類以上の元素が結合してできる半導体のことです。化合物半導体は、シリコン半導体に比べて高速・高周波・高出力・高効率などの特徴を持ち、光や電力などの分野で応用されています。
CVD装置
オプトエレクトロニクス分野の半導体レーザー用途や電子部品分野の高周波デバイス用途での販売があり、増収となっています。
エッチング装置
電子部品分野の高周波デバイス、パワーデバイス用途、シリコン分野の欠陥解析用途での販売があり、増収となっています。
部品・メンテナンス
既存装置のメンテナンスや部品販売、装置の移設・改造などで、増収となっています。
受注環境
受注高の半分は「エッチング装置」で、残りは「CVD装置」「洗浄装置」、「部品・メンテナンス」が3分しています。「エッチング装置」、「CVD装置」、「洗浄装置」のどれも受注高は順調に増加しています。
受注残高の半分は、受注高と同じく「エッチング装置」で、23%が「CVD装置」、14%が「部品・メンテナンス」となっています。「エッチング装置」、「CVD装置」、「洗浄装置」の受注残高はどれも受注残の増加に伴って増加しています。
テクニカル分析
2020年からの業況改善に伴い株価も上昇しています。
株価予想
EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。
株価からBPSを控除した金額の時間推移を利用した予測モデルをModel1、株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。
相関係数はModel1で81.6%、Model2で86.2%となっておりますので、株価とEPSには強い相関関係があるといえます。
相関係数の絶対値 | 一般的な解釈 |
---|---|
0~20% | ほとんど相関関係がない |
20~40% | やや相関関係がある |
40~70% | かなり相関関係がある |
70~100% | 強い相関関係がある |
Model1
Model1で算出した価格は2023年7期で3,005円、2024年7月期で3,329円となっています。
Model2
予想EPSは2023年7月期が134.4円、2024年7月期が174.3円となっており、Model2で算出した価格はそれぞれ3,284円、4,230円となっています。