
ダイキン工業株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。
記事の最後には、EPSと株価の相関関係から算出した株価予想も記載していますので、最後まで読んでいただけますと幸いです。
ダイキンの企業概要
企業名 | ダイキン工業株式会社 | 設立年月日 | 1934/2 |
時価総額 |
7兆816億円 |
業種別 時価総額順位 | 機械 1 / 231 社 |
上場年月 | 1949/5 | 上場市場 | 東証プライム |
従業員数 | 連 88698 名 単 7652 名 | 外国法人持株比率 | 36.3% |
予想配当利回り | 0.79 % | 監査法人 | 有限責任監査法人トーマツ |
業務内容 |
大手空調機メーカー。業務用空調で国内トップ。欧州や中国でもシェアトップクラス。海外売上比率が高い。23.3期1Qは2桁増収。化学事業は好調。フッ素ゴムが大幅増収。自動車関連を中心とする堅調な需要等が寄与。 記:2022/08/07 |
転載元:FISCO
ダイキンの事業について
ダイキングループの主な事業は、空調・冷凍機、化学、油機及び特機製品の製造(工事施工を含む)、販売を営んでいます。
ダイキンは2010年代の大型買収を通じて世界市場のシェア獲得を進めてきており、海外売上高比率は2022年3月期で約8割に達するグローバル企業となっています。
目標とする経営指標
企業価値の最大化を経営の最重要課題のひとつとして位置づけ、FCF(フリーキャッシュフロー)、ROIC(投下資本利益率)、ROA(総資本利益率)、ROE(株主資本利益率)など「率の経営」指標を経営管理の重要指標として、積極的な事業展開と経営体質の強化を推進しております。
特に企業価値の源泉であり、同時に全ての管理指標を向上させる総合指標としてFCFを最重視し、収益の増加、投資効率向上策にあわせて、売上債権及び在庫の徹底圧縮など運転資本面からもキャッシュフローを創出すべく取り組んでまいります。

事業セグメント
ダイキンの事業セグメントは、以下の通りです。
セグメント | 取扱商品またはサービスの内容 |
---|---|
空調・冷凍機事業事業 |
空調・冷凍機製品の製造(工事施工を含む)、販売を行う。 |
化学事業 |
化学製品の製造、販売を行う。 |
その他事業 |
油機事業、特機事業、電子システム事業を含んでいます。 |


セグメント別に売上高及び利益を見ると、「空調・冷凍機事業」が主な事業であることが分かります。
ダイキンの業績
ダイキンの過去の業績は以下の通りです。

EPSの推移と予想EPS

コロナショックの影響はありましたが、その後2022年3月期には過去最高業績を出しており、2023年3月期以降更新していく予想となっています。
四半期EPS推移

2023年3月期1Qは、売上高が9,677億円(前年同期比+21.1%)、営業利益は1,078億円(前年同期比△1.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は705億円(前年同期比△10.3%)となりました。
通期計画の上方修正
ダイキンは2023年3月期1Q時点で通期の計画を上方修正しています。
世界景気の減速懸念が強まる中でも、北米需要の取り込みや今春に各国で実施した4〜5%値上げが業績を押し上げています。
中国のロックダウンの影響がなくなりフル生産体制を取り返すことや二次値上げによりさらに上積みが期待できます。
また、第2四半期以降の為替レートについては、1米ドル115円、1ユーロ125円を前提としているので、現状の為替レートのまま推移すれば更なる上方修正が期待できます。
空調・冷凍機事業

国内空調機器の業界需要は、事業環境が不透明な中での設備投資の先送りや、半導体や部品・部材不足に起因する現場工期の遅延、住宅用市場での昨年の巣ごもり需要からの反動など、需要面・供給面でそれぞれ影響が生じ、業務用・住宅用ともに前年同期を下回りました。
米州では記録的な高インフレや、一部機種で部品不足に起因した供給の逼迫、労働者不足等の問題がある中でも生産力の向上に努め、拡販しました。また、価格政策の着実な実行に努めた結果、売上高は前年同期を大きく上回りました。
欧州では、ロシア・ウクライナ情勢の悪化、エネルギー・物流費の高騰に加え、中国でのロックダウンの影響による供給逼迫など、期初から様々な問題が発生し、厳しい事業環境が続きました。住宅用空調機器では、熱波が到来したスペインやイタリアなどでは販売を伸ばしました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、各国政府のCO2削減を目標とした補助金制度が追い風となり、ガスやオイルボイラーからの更新需要が堅調に伸びました。
北米:省エネ性能に優れた空調機の需要が拡大している。
欧州:ATW(ヒートポンプ式温水暖房機器)は補助金により堅調に推移している。
中東:市況回復が見られる。
アジア・オセアニア(インド):猛暑の影響等で需要が好調に推移している。


営業利益は、原材料市況の高騰や半導体不足、物流費の高騰が影響し、1.3%減となっています。
欧州、ATWビジネス
環境問題の先進国である欧州では再生可能エネルギー比率を2030年に32%、2050年にはCO2の排出をネットでゼロとする目標を掲げています。
そこでエネルギー消費低減工事に対して経済援助が実施されており、ATW(ヒートポンプ式温水断熱システム)に対しても補助金が拠出されています。
化学事業

フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を中心に広範囲での堅調な需要に加え、原材料市況高騰を背景とする適正な価格政策を実施したことにより、売上高は前年同期を大きく上回りました。
原材料市況の高騰影響を受けるなか、売価効果もあり、増収増益となっています。
テクニカル分析

長期では業績に伴って右肩上がりのチャートとなっています。

ここ3年で見ると、リーマンショックで暴落した後2020年終わりには高値を更新。その後株価は続伸し2021年終わりに最高値を付けています。
株価予想

EPSと株価の相関関係を使用して将来の価格を予想してみます。
BPSを加味した株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel1、単純に株価とEPSの相関を使用した予測モデルをModel2としています。
相関係数はModel1で82.9%、Model2で84.1%となっており、株価とEPSには強い相関関係があるといえます。
Model1
予想EPSは2023/3期が805.1円、2024/3期が914.3円となっており、Model1で算出した価格はそれぞれ22,578.0円、26,295.9円となっております。

Model2
予想EPSは2023/3期が805.1円、2024/3期が914.3円となっており、Model1で算出した価格はそれぞれ21,471.5円、25,090.3円となっております。
