ピックアップ企業
【企業別分析】住友林業(1911)

住友林業株式会社について有価証券報告書や中期経営計画、ニュースリリースから投資価値を独自に分析していきます。

(2022/2/15更新)
住友林業の2021年12月期決算を反映済みです。

住友林業の企業概要

企業名 住友林業株式会社 設立年月日 1948/2
時価総額 408,438 百万円 業種別 時価総額順位 建設業 10 / 168 社
上場年月 1970/5 上場市場 建設業 10 / 168 社
従業員数 連 20562 名 単 5073 名 外国法人持株比率 23.6%
決算月 12月 監査法人 EY新日本有限責任監査法人
業務内容 木材建材事業、住宅事業が中核。木造注文住宅で国内トップ。バイオマス発電事業等も手掛ける。熊谷組と資本業務提携。21.12期3Qは住宅・建築事業が堅調。戸建注文住宅事業の需要回復、M&A効果などが寄与。 記:2021/12/29

  転載元:FISCO

同業他社の時価総額および強み

会社名 時価総額 強みや特色
大和ハウス工業

2,260,546 百万円

住宅最大手。賃貸住宅、商業施設、物流などの事業施設の3本柱。戸建て、国内外の都市開発も行う。米テキサスの戸建て開発販売会社を買収。

積水ハウス

1,606,266 百万円

戸建住宅や賃貸住宅の請負に加え、リフォームや不動産の転貸借、住宅やマンションの開発、都市開発等を行う。

住友林業

408,438 百万円

木材建材事業、住宅事業が中核。木造注文住宅で国内トップ。収益の柱は海外住宅・不動産事業。

JPX日経インデックス400構成銘柄への選定

住友林業は「JPX 日経インデックス400」の構成銘柄に選定されています。

「JPX 日経インデックス400」は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資家にとって投資魅力の高い企業」で構成され、日本企業の魅力を内外にアピールするとともに、その持続的な企業の評価や株式の流動性だけでなく、企業の財務状況など、株式市場の活性化を図る事を目的として創生された株式指数です。

現在の投資の流行はインデックス投資ですから、インデックスの構成銘柄になることで大きな買い圧が生まれることが期待できます。

建設業で JPX 日経インデックス400に採用されている会社は以下の通りです。

住友林業の事業について

住友林業は、「公正、信用を重視し社会を利するという『住友の事業精神』に基づき、人と地球環境にやさしい『木』を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げ、この理念のもと、企業価値の最大化をめざすことを経営の基本方針としています。

林業というだけあって国内に総面積約4.8万ha(日本国土の約800分の1に相当)の社有林を所有していて、木造戸建てをメインとする会社になります。

目標とする経営指標

売上高」及び「経常利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけている。

また、経営の効率性を測る指標として「自己資本利益率(ROE)」を重視しており、中長期的にROEを10%以上の水準に維持することを目標としている。

事業セグメント

住友林業の事業セグメントは以下の通りです。 (有価証券報告書2021年12月期の【事業の内容】P5より)

セグメント 取扱商品またはサービスの内容
木材建材事業

木材(原木・チップ・製材品・集成材等)・建材(合板・繊維板・木質加工建材・窯業建材・金属建材・住宅設備機器等)の仕入・製造・加工・販売等を行う。

住友林業は豊富な社有林を所有すると同時に輸入材の安定供給にも努めている

≪2021年12月期≫
木材・建材流通事業では、米国や中国を中心とした木材需要の高まりにより、日本への木材輸入量は減少したものの、木材価格が高騰したこともあり、売上高、経常利益ともに前連結会計年度を上回る。

住宅・建築事業

戸建住宅・集合住宅等の建築工事の請負・アフターメンテナンス・リ
フォーム、分譲住宅等の販売、不動産の賃貸・管理・売買・仲介、住宅の外構・造園工事の請負、都市緑化事業、CAD・敷地調査等を行う。

戸建注文住宅事業では、環境配慮型商品の受注に注力している。また、建築物の木造化・木質化を推進する木化事業では、中大規模木造建築物への取り組みを強化している。

≪2021年12月期≫
国内の新設住宅着工戸数については、分譲住宅は前年同期を下回るが、住宅ローン金利が引き続き低水準であったこともあり、持家・賃貸は前年同期を上回る。その動向を受けて、主力の戸建注文住宅事業は需要回復と順調な工事進捗により売上高は前連結会計年度を上回るが、木材を中心とした世界的な建設資材のコスト上昇による利益率低下から経常利益は前連結会計年度を下回る。

海外住宅・不動産事業

海外における、分譲住宅等の販売、戸建住宅の建築工事の請負、集合住宅・商業複合施設の開発等を行う。

米国・豪州だけでなく、東南アジアにおいても、住宅事業・不動産開発事業を進めることで、参入する住宅市場を分散し、収益基盤の多様化と事業の多角化を図っている。

≪2021年12月期≫
米国の住宅着工件数については、住宅価格が高騰した一方で、やや上昇傾向にあるものの住宅ローン金利が依然歴史的な低水準であったこともあり、前年同期を上回る。その動向を受けて、米国における住宅・不動産事業の業績が好調に推移し、売上高、経常利益ともに前連結会計年度を大幅に上回る。

資源環境事業

バイオマス発電事業、植林事業等を行う。

≪2021年12月期≫
海外植林事業の業績が堅調に推移したこともあり、売上高、経常利益ともに前連結会計年度を上回る。

その他事業

有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営事業、保険代理店業、土木・建築工事の請負等を行う。

≪2021年12月期≫
持分法適用関連会社である株式会社熊谷組に係るのれん相当額の償却終了等により、経常利益は前連結会計年度を上回る。有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営事業に係る減損損失3,416百万円を特別損失に計上。

住友林業の業績

住友林業の過去の業績は以下の通りです。

SBI証券

2020年12月期は売上高が減少していますが、これは変則決算の影響で9か月分しか集計されていないので少なくなっていますが、実際の12か月に直すと売上高、利益ともに増加しています。

全体として直近2年は売上高、利益ともに増加傾向にあり、その要因は間違いなく海外住宅・不動産事業が好調であることが要因となっています。

SBI証券
SBI証券

セグメント別情報

2020年12月期が変則決算のため比較しにくいですが、住友林業の主要事業は「木材建材事業」「住宅・建築事業」「海外住宅・不動産事業」になります。

そして利益のほとんどを「海外住宅・不動産事業」で稼得しています。

木材建材事業

米国や中国を中心とした木材需要の高まりにより木材価格は高騰し、日本への木材輸入量は減少しています。この木材価格の高騰は「ウッドショック」と呼ばれおり、1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえてこのように呼ばれています。

木材の輸入量が不足することも見込まれており、木材関連の価格の高騰によって現状の想定価格では住宅建設できなくなる可能性が出てきています。

日本国内の住宅は約8割が木造であり、住宅における木材使用部位のうち輸入材の割合はほぼ6割です。国産材の使用に切り替える検討をしているメーカーも多くなりましたが、日本国内の集成材・製材メーカーは以前の需要規模を前提として生産を行っていますので、そう簡単には国内の製造工場のキャパシティは増やせませんので需給のバランスに大きな崩れが発生してきます。

住友林業では従来の輸入材の取り扱い強化に加えて、国内材の自給率を引き上げるためにさらなる国産材のサプライチェーンを構築し、安定供給と基盤拡大に努めていくとのこと。

経済産業省では2021年9月分のデータまでで確認できる範囲では、全体として、輸入価格も国内価格も引き続き上昇基調を継続しており、当面は、いわゆるウッドショックといわれる状況が継続する蓋然性が高く、今後の動向を引き続き注視していく必要があると結論付けています。

2021年12月期3Qの木材建材事業では、米国や中国を中心とした木材需要の高まりにより、日本への木材輸入量は減少したものの、木材価格が高騰したこともあり、売上高、経常利益ともに前連結会計年度を上回っています。

木材建材事業について、木材価格の上昇は業績の向上に繋がるのか

価格上昇は木材建材事業の売上高、利益の上昇に繋がると考えて良い。ただし、一部の分譲住宅メーカーにおいて、供給不足から工事の遅延や受注抑制といった動きが出てきている。業界全体で着工の減少となれば当社の木材建材事業にもマイナスの影響が出てくる可能性がある。
引用元:2021 年 12 月期第 1 四半期決算 アナリスト・機関投資家向け説明会 質疑応答

成長に向けた取り組み

木材・建材流通事業では、持続可能な木材調達に関するサプライチェーンを活用して植林木などの環境配慮型商品を拡販するとともに、非住宅建築市場に対する取り組みの拡大、バイオマス発電用木質燃料の安定的な供給体制の構築に引き続き注力する。また、住友林業が開発した高品質の環境配慮型合板「きこりんプライウッド」のバリエーションを順次増やし、製品の選択肢を広げていく。
製造事業では、木材・建材流通事業との連携による製販一体化をさらに推進し、お客様のニーズに応える付加価値の高い商品を開発し、収益力の向上を図る。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による新たな収益源の創出にも取り組んでいます。

引用元:2021年統合報告書

住宅・建築事業

ウッドショックの影響もあり、国内の新設住宅着工戸数については分譲住宅は前年同期を下回っていますが、住宅ローン金利が引き続き低水準であったこと、かつ、住友林業は木材事業の拠点を持つ木造戸建てメーカーですので、影響は比較的少なく売上高、経常利益ともに前連結会計年度を上回っています。

上昇した木材価格を基に概ね 7 月以降の契約物件で価格の見直しを実施しており、木材コストアップを徐々に販売価格で吸収していくが、この間は利益率の対価が見込まれる。

国内における木材不足の住宅・建築事業への影響について

当社戸建注文住宅の構造材は、社有林ではなく主に欧州からの輸入材となるが、木材建材事業の拠点が現地にあり、現状、供給が滞るような状況にはなっていない。また海外の森林経営について言えば、ニュージーランドの植林地から中国向けに原木を輸出している子会社が、中国での木材需要の高まりによる価格上昇の恩恵を受けている。
引用元:2021 年 12 月期第 1 四半期決算 アナリスト・機関投資家向け説明会 質疑応答

成長に向けた取り組み

新設住宅着工戸数は、少子高齢化による人口・世帯数の減少を背景に、今後も漸減していくと予想される一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、住宅市場では成熟市場ならではの価値観や「新しい生活様式」に伴う新たな需要が生まれている。
こうした変化を見据え、戸建注文住宅事業では、住友林業ならではの内装木質感の訴求や、ワーキングスペースを取り入れた間取りの提案、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及促進など、快適で災害にも強い住空間を提供し、お客様満足度の高い家づくりを進める。また、営業活動を通じて蓄積したリアルデータの活用を進め、営業モデルの変革にも挑戦していきます。深刻化する施工現場における人手不足問題に対しては、基礎のプレキャスト化や各種部材のプレカット化・パネル化による工数削減を進め、生産性向上と合理化を加速させていく。
引用元:2021年統合報告書

海外住宅・不動産事業

実は住友林業は国内戸建てメインの会社かと思いきや利益の大半は海外、特にアメリカで稼得しています。

現在アメリカは記録的水準の低金利(住宅ローン金利)と新型コロナウイルスでリモートワーク用に広めの住宅を希望する動きに後押しされ、住宅市場が絶賛拡大中です。

これにより、住友林業の海外住宅事業もかつてない売上と利益を稼得しています。

足元の住宅需要は一時期の過熱感こそないものの好調を維持しており、当面は大きく減退しないと想定されます。

中古住宅の在庫も通常時の平均 4~6 か月に比べ 2 か月程度と少なく、また、ミレニアル世代、Z 世代など、新規の住宅取得者層も増加しており、住宅ストック全体が不足し強い住宅需要は継続しているためです。

また住宅価格は上昇してはいるものの、住友林業の進出地域の平均住宅価格は平均年収の 4~5 倍程度と、未だに良好な住宅取得環境が続いていることもその理由です。

木材価格の高騰もあるため、2021年12月期のような利益率を維持することは難しいものの、コロナ禍前よりは高い利益水準を確保できる見通し。

米国での事業運営

米国での不動産開発事業は、総合不動産開発を行うCrescent Communities(クレセント社)宅地開発を行うMark III Properties(M3P社)現地デベロッパーとの共同事業による不動産開発を担うSFCのSFA(Sumitomo Forestry America) MF Holdings社を通じて事業運営しています。

2018年にクレセント社が住友林業グループに加わって以降、戸建住宅の建築・販売のみならず、集合住宅・商業施設など幅広い建築物を手掛け、業容を拡大してきた経緯があります。

なお、不動産開発事業を行っているクレセント社のような不動産開発事業の場合、プロジェクト毎の利益金額が大きく、戸建住宅事業より損益予想が難しい特徴があります。

2021年1月には、Gehan Homes Groupがコロラド州デンバー地区に進出、前年にDRB Groupが新規進出したジョージア州アトランタ地区と合わせ、経済成長が著しいサンベルト・エリアにおける事業拡大を図っています。

地域ごとの売上情報

海外事業では米国のほかに、オーストラリア、アジアでも事業を行っていますが、セグメント別情報で別記載されていないので、まだ規模が大きくないようです。

成長に向けた取り組み

米国および豪州戸建住宅事業では、地域特性に応じた販売戦略に基づく営業活動により、販売戸数の増加に注力するほか、米国における不動産開発事業では、収益の安定化に向けた体制構築を進めていく。さらに、各社のオーガニックグロース(持続的成長)をベースに、収益源の多様化と新規エリアへの進出を図ることで、安定した成長を目指していきます。また、アジア地域を米国、豪州に次ぐ海外第3の収益の柱に成長させるべく、幅広く不動産開発プロジェクトを推進していく。
引用元:2021年統合報告書

テクニカル分析

SBI証券

コロナ禍で生活様式の変化による戸建てへの住み替え需要により2020年8月から株価は上昇トレンドを形成しました。

SBI証券

2021年7月に2000円付近で大量に機関投資家が仕込んでいると思われますので、2000円付近でのサポートは強そうです。

ミネルヴィニ投資におけるステージ

ミネルヴィニの成長株投資については、以下の記事をご参照ください。
ミネルヴィニ成長株投資法

2020年7月からステージ2に入りましたが、2021年4月に最高値を付けて以降は高値を更新できていません。

ボラティリティが高いものの出来高は大きくなく、また業績もコンセンサスを超えてきているので再び高値を更新する可能性がありそうです。

一方で住友林業の業績を支えているのは米国での住宅事業であり、これは米国の低金利住宅ローンによって支えられてきましたが、FRBは2022年のうちに大幅な利上げをすることが予定されているため、これが住宅市場には悪影響となりそうな懸念が残っています。

エントリーするには、最高値の2,600円を出来高を伴って更新していくのを確認してからエントリーするのがよさそうです。